秘湯めぐりの峠越え(53)白石峠編(千葉)
(金谷→金谷147キロ・取材日1996年4月27日)
嶺岡林道の白石峠
東京から首都高速→京葉道路→館山自動車道経由で木更津へ。館山道が木更津南ICまで完成したので、高速を使うと、すごく楽になった。
今回のバイクは「インドシナ一周1万キロ」(1992年~1993年)を走ったスズキRMX250Sだ。
国内でも3万キロ近く走っているので、もうそろそろメーターは4万キロになる。
このRMXでは5万キロまでは走ろうと思っているのだ。
R127を南下していくと、独特の形をした鋸山が前方に見えてくる。その山裾の金谷が、「白石峠編」の出発点になる。
JR内房線の浜金谷駅に行き、金谷温泉「かぢや旅館」の湯に入り、さて、出発だ。
鋸山が海に落ち込む明鐘岬が富津市と鋸南町の境。ここが、旧国名でいうと、北の上総と南の安房の境になる。ちなみに、「房総」というのは、「安房」と「上総」を合わせたエリアのことである。
房州に入ったところで、鋸山の麓の保田温泉に行く。だが、1軒宿は数年前に廃業していた。
で、鋸南町の中心、勝山でR127を左折し、嶺岡林道に入っていく。しばらくぶりの嶺岡林道は、すっかり変わり、大半が舗装されていた。3号→4号→1号→2号と走ったのだが、ダートはわずかに6キロ‥‥。「ウッソー」といいたくなるような気分。
その間で白石峠を越えた。さらに千葉県の最高峰、愛宕山(408m)の山頂直下を通り、鴨川に下った。
鴨川といえばシーワールドなどで知られる一大リゾート地。海岸に高層ホテルが建ち並んでいるようなところだが、そこから一歩、山側に入ると、ここが同じ鴨川かと驚くくらいの静けさに包まれている。
そんなところに、1軒宿の粟斗温泉がある。ゆったりとした気分で湯につかり、湯から上がると、広間に用意されたお茶を飲んだ。
つづいて曽呂温泉に行く。ここも1軒宿の温泉。チョコレート色をした湯の色。湯には脂分があり、肌がツルツルしてくる。漂白作用があるらしく、色が白くなるとのことで、とくに女性にはおすすめの湯だ。
白石峠を越えて入ったこれら鴨川の2湯は心に強く残った。
南房州の温泉めぐり
鴨川からR128で外房の海を眺めながら走り、南房州へ。R128からR410に入り、南房州の海岸沿いの温泉めぐりをする。
まずは千倉温泉。趣のある温泉宿「千倉館」の湯に入る。つづいて、房総半島最南端の野島崎周辺の白浜温泉。ここでは、野島崎灯台の前にある「ホテル南海荘」の湯に入った。湯から上がると、ロビーでカンジュースを飲みながら休憩したが、ちょっとリッチな気分を味わえた。
白浜町から館山市に入ったところに、不老山薬師温泉がある。安房自然村内にある温泉。だが安房自然村は休業中で、温泉にも入れなかった。
R410と分かれ、房総フラワーラインを走り、洲崎へ。灯台のある岬。ここを過ぎると、外房から内房へと海が変わる。
館山からR127を北へ。富浦町から富山町に入ったところで、国道のすぐわきにある弁天温泉の1軒宿「弁天鉱泉」の湯に入る。ここの湯は1日に数回、色が変わるという不思議な温泉なのだ。
つづいて、海水浴で有名な岩井で国道を右折し、数キロ行った岩婦温泉に行く。ここでは湖畔の静かな宿「岩婦館」の湯に入り、それを最後に金谷に戻った。
港近くの食堂でうまい魚料理を食べ、夕暮れのフェリーで東京湾を横断。三浦半島の久里浜港に渡った。
■一口メモ■
上総と安房の境は房総丘陵。その東端が清澄山で、西端が鋸山になる。房総丘陵を越える峠道が何本かあるが、上総側から安房側に入ると、急に日の光が強くなり、木々の緑がグッと濃くなる。同じ千葉県でも上総と安房ではずいぶんと違う。
■白石峠編で立ち寄った温泉一覧■
1、金谷温泉 かぢや旅館 500円 サウナ付きの大浴場。ここは上総側になる
2、保田温泉 ----- ---- 鋸山南麓の1軒宿の温泉。数年前に廃業
3、粟斗温泉 粟斗温泉 1100円 鴨川の中心街から北へ。河畔の1軒宿
4、宮下温泉 こがね荘 750円 鴨川から岩井に通じる県道の脇の1軒宿
5、千倉温泉 千倉館 1000円 千倉の市街地の北側にある温泉宿
6、白浜温泉 南海荘 800円 野島崎の灯台前にある温泉ホテル
7、薬師温泉 ----- ---- 安房自然村の中にある温泉。休業中
8、弁天温泉 弁天鉱泉 700円 富浦町のR127のすぐ脇にある1軒宿
9、岩婦温泉 岩婦館 600円 岩婦湖畔にある静かな温泉宿