賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(24)粟島(新潟)

 (『ジパングツーリング』2001年10月号 所収)

 

 朝のテレビで天気予報を見ると、全国的に雨‥。そのなかにあって、岩船港のこのあたりはまあまあの天気なのがうれしい。雲は多いが、薄日がさしている。

 8時、朝食。キスとクロガレイの焼き魚が出た。民宿「岩船荘」のご主人は釣り師。朝から釣り糸の準備で余念がない。

 ここでは自転車で日本縦断中の三浦清さんに会った。九州の佐多岬を出発し、北海道の宗谷岬を目指している。同じ2輪同士ということで、ライダーとチャリダーは気が合う。しばしツーリング談義に花を咲かせた。

 岩船港10時30分発の粟島汽船の「フェリーあわしま」(626トン)に乗船。粟島に渡る。ひとつ残念なことは、旅行者のバイクは乗せてもらえないことだ。

 まあ、仕方ないか‥。

 ということで、相棒のスズキSMX50は岩船港の駐車場に置いていく。

「フェリーあわしま」の2等が1830円。90分の船旅だ。岩船港を出ると残雪の朝日連峰や飯豊連峰の山々がよく見える。

「島旅はいい!」

 と、心底そう思う。

 巡る島の数だけの「船旅」がある。

 12時、粟島に到着。粟島浦村役場のある内浦港だ。

 まずは温泉。港から徒歩2、3分の漁火温泉「おと姫の湯」(入浴料500円)に入る。男女別の湯。浴室に入ると、髪の長い女の子がいるではないか。

「あー、いけねー。間違えた」

 と、あわてて飛び出した。

 ところがやはり「男湯」なのである。入りなおしてよく見ると、お父さんと一緒の小学生前ぐらいの女の子だった。

 塩分の強い湯。湯につかりながら日本海越しに越後の山々を眺めた。

 湯から上がると、フェリーターミナル2階のレストラン「憩」で、粟島の名物料理「わっぱ煮」(1200円)を食べた。木の曲物のわっぱの中に、焼け石が2個、入っている。わっぱ煮は焼け石料理なのだ。その中には焦げ目のついた焼き魚のタイとネギなどの野菜が入っている。

 食事を終えると内浦の集落をプラプラ歩き、14時30分発の「フェリーあわしま」で岩船港に戻った。近くの瀬波温泉に入り、新潟に向かうのだった。