賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(22)帆掛島(秋田)

 (『ジパングツーリング』2001年10月号 所収)

 

 秋田県北部、八森漁港での夜明け。4時には目がさめ、すばやくテントを撤収し、4時15分には出発だ。旅の毎日は、まるで機械のような正確さで、夜明けととも目がさめる。

 国道101号で能代へ。

 途中の「道の駅・みねはま」で洗面・トイレ。次々と新しい道の駅ができているので、我らツーリングライダーにとっても、なんともありがたい。

 6時には能代に到着。町中の「けやき公園」のケヤキの新緑が目にも鮮やかだった。

 能代から国道7号を南下。厳密にいえば国道101号との重複区間の7号になる。国道沿いの「ローソン」でシャケとタラコのおにぎり2個と缶入り緑茶の朝食を食べ、国道101号で男鹿半島に入っていく。

 まずは大晦日の伝統的な行事「なまはげ」で知られる真山神社に向かう。

 その途中には「万体仏」。小さなお堂の壁や天井には、1万体を超えるという杉で彫られた木彫仏がびっしりとすきまなくまつられている。

 男鹿三山・真山の麓にある真山神社を参拝したあと、隣接した「なまはげ館」と「伝承館」(共通券800円)を見学した。「なまはげ館」では、なまはげの行事がどういうものなのかがよくわかる。「伝承館」では、なまはげの実演を見た。なまはげの登場のシーンはド迫力だった。

「なまはげ」は男鹿半島全域でおこなわれているが、包丁を手にした鬼たちが「泣く子はいねが」、「なまげ嫁はいねが」と叫びながら家々をねり歩く。

 男鹿半島のシンボル的存在の真山神社からは、真山林道経由で防衛庁の専用道路に入り、真山、本山、毛無山の男鹿三山を目指して登っていく。

 道幅の広いダート。急勾配の登り。かなりきつい登りで、SMX50を2度、3度と止め、エンジンを冷まさなくてはならなかった。男鹿三山は男鹿半島の聖山。ところが今は自衛隊のレーダー基地で、山頂周辺は立ち入り禁止地域になっていた‥。

 男鹿三山から男鹿半島縦貫の「なまはげライン」に下り、男鹿温泉へ。

 国民宿舎「男鹿」(入浴料300円)の湯に入った。

 男鹿半島突端、北緯40度線上の岬、入道崎へ。白黒2色に塗り分けられた灯台(170円)に登る。目の前に浮かぶ岩礁の水島を見下ろす。灯台から下りると、岬の園地を歩く。北緯40度線のモニュメントの石の日時計を見る。

 そのあと、昼食にする。ここは人気の岬で、売店や食堂がズラッと並んでいるが、「海陽」という店に入り、「イカ刺し丼」(980円)を食べた。イカの塩辛と小魚の汁つき。さすがに日本海のイカだけあってうまかった。

 入道崎から男鹿半島南岸の道を行く。半島南端の潮見崎近くでは、干潮時に磯づたいに歩いて渡れる島を発見!

 帆掛島だ。

 軍艦のようにも見える大岩。

 これが秋田県での唯一の島となったが、青森から秋田にかけての日本海側にはほんとうに島がない。

 男鹿半島の最後は寒風山。山頂から男鹿半島を一望し、売店で秋田名物のきりたんぽ(1本250円)を食べ、秋田へ。

 秋田からは国道7号を南下。本荘を通って山形県に入り、酒田の宮海温泉「ゆうゆう」でひと晩泊まった。