賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

シルクロード横断:第47回 ドーバヤジット→エルズルム

 トルコ東部、イランとの国境に近いドーバヤジットでは、町の中心にある「ヌフホテル」に連泊したが、2日目も、展望レストランからはアララト山がきれいに見えた。雪をかぶったアララト山(5165m)を見ながら食べる朝食はなんとも優雅なものだった。

 2006年10月2日8時、ドーバヤジットを出発。「シルクロード横断」のゴール、イスタンブールを目指す。トルコ横断の開始。スズキDR-Z400Sに「頼むぞ!」とひと声かけて走り出す。

 ドーバヤジットの町を離れるまではアララト山には雲ひとつかかっていなかった。それが…、あっというまに天気は変り、山麓まで行ったときには山頂はすっぽりと雲に覆われてしまった。残念…。富士山型の小アララット山(3898m)には雲はかかっていなかった。

 アララト山山麓からは標高1600メートルの峠を越える。峠道を下っていくと、隣国アルメニアの最高峰、アラガッツ山(4094m)がよく見えた。峠を下りきったところがアルメニアとの国境の町、イグディールだ。

 街道沿いのレストランでピデ(ナン)、ショルボ(スープ)、肉料理、サラダの昼食を食べ、カルスの南を通ってエルズルムに向かう。このカルスの近くにはアニ遺跡がある。アルメニア教会の中心地として栄えたアニは、シルクロードの中継都市としても繁栄を謳歌した。11世紀前半の最盛期には人口は10万人を超え、1001もの教会のある町といわれたほど。

 カスピ海に流れ出るアラス川沿いに走り、16世紀のオスマントルコ時代の石橋、チョバンデデ橋を見る。そして標高2000メートルの峠を越え、トルコ東部の中心地、エルズルムへと下っていく。川の流れが変る。標高1853メートルのエルズルムの周辺は、ペルシャ湾に流れ出るユーフラテス川の源流地帯になっている。

 ドーバヤジットから353キロ、17時にエルズルムに到着したが、日が落ちると急速に気温が下がった。

 夕食はカバブー。そのあと町のハマムに繰り出した。「道祖神」の菊地さんを隊長に、「ハマム同盟」を結成したのだ。

 ハマムとはトルコやアラブ圏特有の蒸気風呂。蒸気浴しながら大理石の上でゴロンと横になった。アカスリもやってもらったが、すご~く気持ちいい。我ら「シルクロード軍団」、ハマムにすっかりはまり、このあと宿泊地の町に着くとハマムを探すのだった。

5473、雲をかぶったアララト山

雲をかぶったアララト山

5478、アルメニアの最高峰、アラガッツ山を眺める

アルメニアの最高峰、アラガッツ山を眺める

5492、アラス川にかかる石橋のチョバンデデ橋

アラス川にかかる石橋のチョバンデデ橋

5494、街道沿いでは巨大キャベツを売っていた

街道沿いでは巨大キャベツを売っていた