秘湯めぐりの峠越え(26)中山峠(福島)
十四夜の中山峠
猪苗代からは、R49に出、郡山に向かって走る。
バックミラーに映る磐梯山が遠ざかっていくと、右手には、夕暮れに沈む猪苗代湖が見えてくる。湖には、さざ波がたっている。
安積疎水のとり入れ口を過ぎると、前方にはR49の中山峠が見えてくる。
十四夜の大きな月が、峠の上にポッカリと浮かんでいる。なんともいえない幸福感を感じる一瞬。バイクに乗って旅している喜びを全身で感じてしまう。
標高525メートルの中山峠をトンネルで抜け、会津盆地から“中通り”の郡山盆地へと下っていく。峠下が越後街道(R49)の中山宿。中山峠は板谷峠と同じように、本州を太平洋側と日本海側に分ける中央分水嶺の峠だが、このあたりの奥羽山脈の山々はなだらかなので越えやすく、昔から重要な交通路になっていた。
旧街道の中山峠は、現在の峠よりも3キロほど北の楊子峠(別名中山峠)を越えていたということだが、明治時代に新道がつくられ、現在の地点の峠を越えるようになった。
栗子峠や板谷峠もそうだが、峠は不動の山と違って、時代とともに移り変わっていくものなのである。
磐梯熱海温泉の共同浴場
山地から平地に抜け出るあたりの磐梯熱海温泉では、国道沿いの共同浴場「宝の湯」に入った。入浴料の300円を近くの「安田商店」という店で払い、そこで洗面器を借りて湯に入るシステムになっている。
「宝の湯」には、サンダルばきでやってきた地元の若い女性とほぼ同時に入った。男湯と女湯の境は簡単なものなので、彼女の脱ぐのが見えてしまい、胸がドキドキしてしまう。熱めの湯につかったあとも、まだ胸がときめいていた。
共同浴場にはこのようなよさもあるのだ!
郡山からはR4を北上し、福島に向かう。
途中、二本松から10キロほど走り、安達太良山東麓の温泉、岳温泉に寄り道をする。ここでは共同浴場の「岳の湯」(入浴料300円)の湯に入った。岳温泉は第1湯目の微温湯温泉から数えて第16湯目。満足感に満ちた気分で岳温泉を後にし、二本松に戻り、R4で福島へ。東北道の福島西ICを「福島→福島355キロ」のゴールとした。
そこから夜の高速道を一気走りし、一路、東京へと向かった。
やっぱり管理人ツッコミ:
「彼女の脱ぐのが見えてしまい、」って、「見た」くせに~。