韓国食べ歩き:第6回
(『あるくみるきく』1987年1月号 所収)
南大門市場を歩く
私たちは南大門市場を歩きまわった。
穀物売場には何種類もの米のほかにアワ、ヒエ、モロコシなどの雑穀類や麦類、豆類が売られている。
それに隣あって、香辛料売場がある。さすがトウガラシの国だけあって、乾燥させたトウガラシが山のように積み上げられている。生の青トウガラシやトウガラシ粉もある。ニンニク、ショウガも山積みされている。
調味料売場では、コチュジャンやテンジャンなどの味噌類やカンジャン(醤油)、シッチョ(酢)、ソグム(塩)などを売っている。
野菜売場では青菜類が山積みにされている。チシャやシュンギク、ホウレンソウ、カラシナといったところだ。ダイコン、カボチャ、ニンジンも山積みされている。
ワラビとゼンマイが目につく。それとモヤシ。モヤシにはダイズの白いモヤシと、リョクトウの緑色のモヤシがある。サトイモ、ジャガイモ、サツマイモと芋類も目立っている。
日本では高価すぎてなかなか手の出ないマツタケが、無造作にプラスチックケースに入れられ、こぼれ落ちんばかりだ。
果物売場ではリンゴ、モモ、ブドウ、クリ、イチジクなどが並んでいた。
トク(餅)を専門に売っている店がある。
餅といっても、日本でいえば団子に近いもの。米粉を練り固め、それを蒸したもので、ヨモギを混ぜた餅やクリ、ナツメなのど果実を混ぜた餅もある。日本の糯米を蒸して搗いた餅とは違い、韓国の餅は粉食の餅という言い方もできる。
魚介類売場ではタチウオが目立って多い。朝鮮半島と西日本の近さを感じさせる光景。そのほか、タラ、スケトウダラ、タイ、イシモチ、サバ、イワシ、カレイ、ヒラメ、カツオ、ニシン、イカ、タコ、カニ、エビなどが並んでいる。
「おやっ!」と思わせたのはエイだ。エイが多い。このあたりは北日本と似ている。韓国人はエイをよく食べるという。
全体的に見ると、鮮魚よりも塩魚が多いという印象を持った。
そのほかタラなどの干魚やスルメ、何種類ものイリコを売る店、コイ、フナ、ウナギ、ドジョウ、カワエビ、カメなどの川魚を売る店、アサリやハマグリ、アゲマキなどの貝類を売る店もある。
韓国が三方を海に囲まれた半島国だということをあらためて実感させられる魚介類売場だ。その点では四方を海に囲まれた島国日本とよく似ている。