シルクロード横断:第26回 カシュガル(その1)
2006年9月12日、我ら「シルクロード軍団」は中国西端の町・カシュガルに到着すると、町の中心エイティガール広場で全員集合の記念撮影をした。
1798年に創建されたというイスラム教寺院、エイティガール寺院前の広場には中国各地や外国からの観光客も大勢やってくる。観光客をのせるラクダもいる。物売りも多い。そんな中での記念撮影。中国人スタッフのみなさんが用意してくれた「熱烈歓迎」の横断幕がひときわ目を引く。我々はエイティガール広場での記念撮影でカシュガル到着を強く実感するのだった。
町のレストランで昼食。麺を食べる。日本のうどんのように汁の中に入れて食べる食べ方ではなく、ゆであげた麺を肉や野菜などを炒めた具と一緒に食べる。このような麺が一般的だ。
シルクロードの起点、西安を出発してからほとんど毎日のように麺を食べつづけたが、中国最後の町、カシュガルで麺を食べたことによって、あらためて「麺ロード」のシルクロードを強く印象づけられるのだった。
我々が連泊するホテルは「新隆大酒店」。中国ではどこでもそうだったが、ホテルは小奇麗でしっかりしている。ホテルでいやな思いをすることは一度もなかった。お湯もちゃんと出る。これも中国の経済成長の証しといえる。
部屋に荷物を入れ、シャワーを浴びてさっぱりしたところでカシュガルの町を歩く。
新市街から旧市街へ。迷路のような旧市街を歩きまわったが、そこはウイグル族の世界。旧市街ではいわゆる中国人の漢族の姿はまず見かけない。小道を行く女性たちはチャドルで顔を覆っている。
旧市街の迷路を歩いたあとは、隣接しているバザール(市場)を歩き、さまざまな店をのぞいた。
日本ではすでに見られなくなった鍛冶屋が健在。熱く焼けた鉄をたたき、刃物をつくっている。駄菓子屋では子供たちが木のいすに座り、くいいるようにテレビを見ている。乾物屋の店先には米や雑穀、豆などの入った袋がズラズラッと並んでいる。パックされたものを売るのではなく、すべてが計り売り。
ナン屋では小麦粉をこね、形づくり、かまどで焼いている。焼きたてのナンはほんとうにうまい。帽子屋ではウイグル族のかぶる色とりどりの帽子を並べて売っている。その前では店の主人が帽子をつくっている。毛皮屋ではオオカミの灰色がかった毛皮が目を引いた。
カシュガルはまさにアジアの十字路。
ここはシルクロードの天山南路と西域南道の合流点であり、北に連なる天山山脈を越えてキルギスへ、西に連なるパミール高原を越えてキルギス、タジキスタンへ、南に連なるカラコルム山脈を越えてパキスタンへと、カシュガルからは高山を越えたさらなる向こうの世界に通じている。それがカシュガルの大きな魅力だ。
カシュガルのバザールを歩いていると、ウイグル族のみならず、キルギスやタジキスタンの異民族の姿も見られた。
我々はカシュガルから北へ、トルガルト峠を越えてキルギスへと向かっていくのだが、その前にパキスタン国境のクンジェラブ峠に通じる道を南下し、7000メートル峰を間近に見られるというカラクリ湖まで行ってみることにした。