賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの新・峠越え:神奈川(22)朝比奈峠(あさひなとうげ)その2

 鎌倉の「七切通し」で知られる「七坂」のうち、極楽坂、大仏坂、化粧(けわい)坂の3坂を越え、鎌倉駅前に出た。駅近くの食堂で昼食を食べ、駅前の若宮大路の県道21号を北へ。鶴岡八幡宮前でT字路にぶつかるが、そこを左折し、そのまま県道21号を走る。鶴岡八幡宮の境内に沿った道。鶴岡八幡宮を離れるとゆるやかな登りになり巨福呂(こぶくろ)坂に到達。巨福呂を下ったところが建長寺なので、歩いてこの坂を越える人も多い。

 建長寺の前を通り過ぎ、すぐ先の上町の交差点を左折。その道が亀ガ谷坂の切通しに通じている。道幅は狭く、車の通行はできないが、うれしいことにバイクはOK。歩いて亀ガ谷坂の切通しを越える人たちもけっこういるので、バイクで入っていくのにはちょっと気がひけた。だが地元のみなさんたちは平気でスクーターなどで越えているので、その後ろについて走り、無事に亀ガ谷坂を越えることができた。

 鶴岡八幡宮前に戻ると、さきほどのT字路を直進し、今度は県道204号で朝比奈峠に向かっていく。鎌倉宮瑞泉寺に通じる道との分岐点、「岐れ路」の交差点を通り過ぎ、滑川沿いに走り、鎌倉霊園近くから峠道を登っていく。登りきったところが鎌倉市横浜市の境になっている朝比奈峠だ。そこには「朝比奈峠」のバス停がある。

 峠を越えると急勾配のワインディングルートになり、一気に下り、県道23号の朝比奈交差点に出る。横浜横須賀道路の朝比奈ICのすぐ近くになる。朝比奈の交差点を右折し、県道23号を行く。国道16号の六浦の交差点にぶつかり、左折し、すぐ近くの京浜急行金沢文庫駅前まで行った。

 金沢文庫駅前から引き返す。朝比奈の交差点の手前には「朝比奈切通し」の表示。そこを左折し、狭い道を200メートルほど走ると「朝比奈切通し」の入口だ。そこには案内板があって、次のように書かれていた。

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鎌倉幕府は仁治元年(1240)六浦津との重要交通路として、路改修を議定、翌年4月から工事にかかりました。執権北条泰時自らが監督し、自分の乗馬に土石を運ばせて工事を急がせたといいます。当時の六浦は塩の産地であり、安房・上総・下総等との関東地方をはじめ、海外(唐)からの物資集散の港でした。舟で運ばれた各地の物資はこの切通しを越えて鎌倉に入り、六浦港の政治的、経済的価値は倍増しました。また鎌倉防衛上必要な防御施設として、路の左右に平場や切岸の跡とみられるものが残されています。鎌倉市境の南側には熊野神社がありますが、これは鎌倉の艮(鬼門)の守りとして祀られたと伝えられています。鎌倉七口の中、最も高く嶮阻な路です」

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 ここにバイクを停め、歩いて「朝比奈切通し」に向かっていく。横浜横須賀道路の橋脚の下をくぐり抜け、熊野神社との分岐を過ぎると到達だ。昼なお暗いといった感じの朝比奈切通し。ここも横浜市鎌倉市の市境になっている。朝比奈切通しの往復は30分ほどだった。

 鎌倉七坂の最後は名越坂。朝比奈峠から鎌倉駅前に戻り、県道311号で逗子に向かう。ゆるやかな坂を登りめると名越坂。鎌倉・逗子の市境のトンネルを抜け、逗子駅前に出た。それを最後に海沿いの国道134号に出、平塚経由で伊勢原に戻った。全行程101キロの「鎌倉七坂越え」だった。

巨福呂坂
巨福呂坂

亀ヶ谷坂
亀ヶ谷坂

朝比奈峠
朝比奈峠

朝比奈切通し
朝比奈切通し