賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの新・峠越え:神奈川(17)七国峠(ななくにとうげ)

 ツーリングというのは何日もかけなくても、たとえば日帰りのワンデーツーリングでも十分に楽しめる。ワンデーどころか、ハーフデーでも同様に楽しめるものだ。伊勢原市の我が家を拠点にして越えている神奈川県内の峠越えなどは、ぼくにとっては絶好のワンデーツーリング、ハーフデーツーリングのコースといえる。みなさん方もぜひとも自分の家を拠点にして、ワンデーツーリング、ハーフデーツーリングをどんどんやってみて下さい。きっと新たな発見がありますよ。それがまた新たなおもしろさにつながっていくとぼくは思うのです。

 ということで2006年6月24日はハーフデーツーリングの峠越え。午前中は目いっぱい仕事(原稿書き)をし、昼飯も家で食べ、久しぶりの青空に、「それ、行けー!」という気分で出発した。目指すは七国峠。それにひきつづいて六本松峠も越えるつもりだ。

 スズキDR-Z400Sを走らせ、伊勢原から大磯に通じる県道63号を南下。伊勢原市から平塚市に入り、丹沢から流れ出る金目(かなめ)川にかかる吾妻橋手前の交差点を右折。今度は県道62号を行く。そのあたりが金目の中心地だ。金目川の河畔には順礼峠(神奈川-10参照)でもふれた板東33ヵ所観音霊場の7番札所、金目観音(金目山寺)がある。

 そこではタクシーで巡礼している年配の人に出会った。その人は小田原駅前からタクシーに乗り、5番札所の小田原の飯泉、6番札所の厚木の飯山と巡り、7番札所の平塚の金目にやってきた。今回はここを最後に小田原駅に戻るという。人ごとながら、タクシーでの巡礼だと、ずいぶんとお金がかかることだろうと余計な心配をした。バイクならば2、3リッター分のガソリン代の3、400円ですむのに…と思ってしまう。

 光明寺の先が東海大学の正門。ついでだからと東海大学の湘南キャンパス内をぐるりとまわった。そして東海大学正門前のすぐ先、土屋橋の交差点を左折し、金目川にかかる土屋橋を渡る。その道は県道77号で、七国峠を越えていく。橋を渡ったところにはファミリーマート。そこでバイクを停めて小休止。

 店の入口にはツバメの巣があってかわいらしい5羽のひな顔をのぞかせていた。我が家にもツバメの巣が2つあって、毎年、巣立っていくので、缶コーヒーを飲みながらしばらくはツバメのひなたちと、ひんぱんにやってくる親鳥を見ていた。

 県道77号で七国峠へ。峠下が土屋の集落。その近くには神奈川大学のキャンパスもある。ゆるやかな峠道を登りつめると七国峠。峠には「七国峠」のバス停。峠上には民家や畑もある。けっこう車の行き交う峠だ。峠で県道を左折し、登っていくと、ゴルフ場のわきにある七国峠の展望台に出る。そこからの眺めは「平塚八景」のひとつに数えられている。

 ところで七国峠だが、相模、武蔵、伊豆、駿河、甲斐、下総、安房の七国が見えるのでこの峠名がある。ほんとうに七国も見えるのだろうか…と半信半疑だったが、篠窪峠(神奈川-16参照)のときに越えた渋沢峠の近くには八国見山(319m)という山があるので、きっと七国峠からも7国が見えたのだろう。神奈川県内にはもうひとつ、七国峠がある。東京都にはなんと3つの七国峠がある。

 七国峠を越えると、平塚市から中井町に入り、そのまま県道77号を走っていく。秦野と二宮を結ぶ県道71号を横切り、中井の町役場近くを通り、県道710号にぶつかる富士見橋の交差点に出る。そこを過ぎると大井町に入り、篠窪峠に通じる「篠窪入口」の交差点を過ぎ、東名高速沿いに松田町に入っていく。そして小田急線の新松田駅前を七国峠越えのゴールにした。伊勢原からは28キロだった。

金目観音
金目観音

東海大学のキャンパス内。広い!
東海大学のキャンパス内。広い!

七国峠に到着!
七国峠に到着!

七国峠のバス停
七国峠のバス停