賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

賀曽利隆の「70代編日本一周」(4)

 2017年9月1日に出発した「賀曽利隆の70代編日本一周」ですが、東日本編(45日)の12478キロ、西日本編(49日)の12818キロ、合計すると25296キロを走り、2017年12月17日に出発点の東京・日本橋に戻ってきました。ここまでは第1部。その直後に第2部に出発し、2018年12月31日に日本橋にゴールし、「70代編日本一周」を終えたのです。2019年1月29日には「地平線会議」の報告会で「賀曽利隆の70代編日本一周」を報告させてもらいました。その後に出た『地平線通信』(2019年2月号)をお読みください。

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■報告者のひとこと

 昨年の12月31日に「70代編日本一周」を終了させましたが、その直後に報告会で報告させてもらったのはラッキーなことでした。みなさんに話すことによって、大きな区切りをつけることができました。自分自身が一段、ステップを上がり、新たな地平の風景を見ているような気分です。「これでやれる!」といった70代への自信をつかむこともできました。そして「80代編日本一周」が視野に入ってきました。

 昨晩(1月29日)の報告会には、我が「70代編日本一周」で出会った多くのライダーのみなさんが駆けつけてきてくれました。みなさんとの再会はうれしいものでしたし、みなさんに会うことによって新たな力をもらいました。

 じつは今回の日本一周ではスマホを使い、ツイッターで旅の様子を発信しました。それを見た多くの方々が「カソリを捕獲しよう!」ということで、日本各地で待ち構えてくれていたのです。「スマホは絶対に持たない」などといっていたカソリですが…。今となってはスマホを持ってよかったと思っています。

 日本一周の第1部(94日)で出会ったライダーの数は全部で124人になりました。第2部(296日)では正確にはカウントしていませんが、おそらく300人は超えると思われます。

 昨晩、報告会に来てくれた何人かのライダーを紹介します。

 いわき市から来てくれた渡辺哲さんとは、いわき市の四倉舞子温泉「よこ川荘」に泊まりました。それから3日間、一緒に走ったのです。奥会津をぐるりとまわり、新菊島温泉に泊まり、郡山からいわきに戻ったのですが、四倉舞子温泉、新菊島温泉と連夜の酒宴でした。

 古川(大崎市)から来てくれた武内典士さんとは古川から青森まで一緒に走りました。 akisanはただいま「世界一周」中。ウラジオストックからシベリアを横断し、ユーラシア大陸最西端のロカ岬に到達すると、バイクをいったんスペインのマドリッドに置いて帰国したのです。その最中に来てくれました。

 茅ヶ崎から来てくれた茅ヶ崎さんとは宇和島で出会いました。連休を利用して750キロ走ってカソリを捕獲したのです。それから3日間、四国を一緒になって駆けめぐりました。

 藤岡から来てくれた女性ライダーの半蔵さんとの出会いは強烈でした。新潟から東京に向かったときのこと。ザーザー降りの雨の中、国道17号の三国峠のトンネル手前、新潟県側でぼくを待ち構えてくれていたのです。半蔵さんはずぶ濡れでした。そこから一緒に走りました。三国峠のトンネルを抜けて群馬県に入り、猿ヶ京温泉共同浴場の湯に入りました。高崎を過ぎると中山道倉賀野宿に行き、中山道日光例幣使街道の追分に立ったのです。

 やはり女性ライダーののりりんさんは、午前0時出発の日本橋に来てくれたのです。のりりんさんに見送られて国道4号を夜通し走り、青森を目指したのでした。のりりんさんとはその後、楢葉(福島)の大楽院でおこなわれた焚火ミーティングで一緒になり、一夜を過ごしました。

 戸塚から来てくれたtododesuさんとchobidesuさんのカップルは、我が「70代編日本一周」の最後を飾る「伊豆半島一周」に同行してくれました。12月30日の早朝、熱海駅前で落ち合うと川奈崎、稲取岬、爪木崎と東伊豆の岬をめぐり、伊豆半島最南端の石廊崎に立ちました。雲見温泉の民宿「三楽荘」に泊まったのですが、盛りだくさんの海鮮料理の夕食を食べたあとは二次会の開始。静岡限定生ビールの「静岡麦酒」や伊豆の地酒「花の舞」を飲みつくし、日付が変わったところで宴会はお開きになるのでした。

 翌12月31日は黄金崎、恋人岬、旅人岬、御浜岬、出逢い岬と西伊豆の岬をめぐり大瀬崎へ。そこではまーすけさんが待ち構えてくれていました。まーすけさんは大の「カソリ本」の読者で、20冊以上ものカソリ本を持っているのです。

伊豆半島一周」を終えると、tododesuさんとchobidesuさんのカップル、まーすけさんと一緒に日本橋へ。12月31日21時15分、日本橋にゴールし、「70代編日本一周」を終えるのでした。

 こうして地平線会議の報告会で日本一周中に出会ったみなさんに再会すると、愛おしさがこみあげ、胸がジーンとしてくるのでした。

 報告会の後半はガラリと変え、地平線会議代表世話人の江本嘉伸さんとのトークショーになりました。

 江本さんは多くのライダーが愛用しているロードマップの『ツーリングマップル』を高く評価してくれました。というのは、そのうちの『ツーリングマップル東北』をカソリが担当しているからです。地図に個性を!ということで、数多くのコメントを入れていますが、それらの大半は自分自身で実際に行って見聞きしたものなのです。

 夏には2019年版の実走取材や表紙撮影で1万3000キロを走りましたが、それも今回の我が「70代編日本一周」の第2部に含めています。『ツーリングマップル関東』を担当している中村聡一郎さんと『ツーリングマップル九州』を担当している坂口まさえさんが報告会に来てくれたことはうれしいことでした。

 江本さんとのトークショーでは地平線会議発足時の話もずいぶんと出ました。四谷の喫茶店「オハラ」と「オハラ・パートⅡ」で喧々諤々の議論をかわしたことや年報への熱い想い、報告会はカソリが担当することになったいきさつや記念すべき第1回目の報告者が三輪主彦さんだったこと、伊藤幸司さんの担当で地平線放送が開始されたことなどなど、過ぎ去った40年前を振り返えってみたのです。

 それにしても地平線会議、よくぞここまでつづきましたよねえ~、江本さん!

賀曽利隆