賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「広州→上海2200キロ」(15)

 12月8日。8時、朝食。饅頭、油條、粥を食べる。8時30分、出発だ。

 国道104号を行く。山々が連なる。雨に濡れた峠道で事故。バイクがらみの事故だった。まだパトカーも救急車も来ていない。トラックに衝突したバイクの運転手はトラックの後輪に頭をひかれて即死。道路上には大量の血が流れていた。後ろに乗っていた女性は無傷で、大声を出して泣いていた。手を合わせ、冥福を祈って事故現場を離れたが、明日は我が身だ。

 12時、寧徳に到着。食堂で昼食。豚肉料理や豆腐料理を食べたが、イソギンチャクのスープは珍味だった。国道104号を離れ、霞浦へ。

 茶畑がつづく山道を走る。霞浦に到着すると、郊外の赤岸という村にある「空海大師記念堂」まで行く。それにしても空海は強運な人間だ。804年の第17次遣唐使船に乗ったのだが、4隻のうち2隻は嵐で沈没。空海の乗った船は沈没をまのがれ、この地に漂着した。空海は上陸の許可が下りるまでの40日間、霞浦に滞在したのだ。

 なお4隻のうち1隻だけは予定通り、寧波港に到着した。その船には最澄が乗っていた。アドレスでは4月から5月にかけて「四国八十八ヵ所めぐり」をしたので、自分の頭の中では、これで四国と中国がつながったような気分だ。次ぎの機会にはぜひとも、福州から長安西安)までの空海の足跡をたどってみたいものだ。

 赤岸から霞浦に戻ると、町中のホテル「霞浦珠杯大酒店」に泊まった。海鮮料理の夕食のあと夜の町をプラプラ歩いたが、夜市で食べた干し柿が安くてうまかった。

(福州→霞浦 213キロ)

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連江の町並み

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国道104号の事故現場

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寧徳の町。ここで昼食

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赤岸の「空海大師記念堂」

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霞浦の夕食。海鮮麺を食べる