賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

アフリカ縦断2013-2014(その27)

「ナイロビ→ケープタウン編」(27)

 1月7日、朝食のマヨパンを食べると、スワコップムントを出発。南に40キロほどのウオルビスバイに向かう。ウオルビスバイへの道はメインルートの海岸経由とマイナールートの内陸経由があるが、内陸ルートを走った。前日のケープ・クロスへの道と同じ、塩で固めた高速ダート。右手にはナミブ砂漠砂丘が切れ目なくつづく。

 大西洋岸のウオルビスバイの町に到着。ここで給油。ウオルビスバイはナミビア最大の貿易港になっている。ナミビアの独立以前、ここは南アフリカ・ケープ州の直轄地になっていた。

 ウオルビスバイからナミブ砂漠に入っていく。舗装路が途切れると、幅広のダートに突入。路面は整備され、けっこう固く締まっているので高速で走れる。ただし砂溜まりなどでハンドルをとられると、そのまま高速で吹っ飛んでしまうので要注意だ。

 強烈な日差しを浴びながら走るので、頭がクラクラしてくる。乾いた熱風をまともに受けて走るので、あっというまに口びるが割れ、のどがひきつるように痛んでくる。

 昼食は道路脇で。うち捨てられた道路工事用車両をみつけ、そのわずかな日陰でコカ・コーラを飲みながらホットドッグを食べる。ともにウオルビスバイで仕入れたもの。食べ終わると30分ほどの昼寝。車両の下にもぐり込んで寝た。砂漠では太陽光線さえ避けられれば、こうして炎天下でも寝られるのだ。

 一望千里の広大な砂漠から乾燥した丘陵地帯に入っていく。山を越え、谷に下ると、わずかばかりの水が流れている。道の両側には地を這うような草が一面にはえている。

 ウイントフックに通じる道と分かれ、南回帰線に到達。そこには「Tropic of Capricon」の表示板が立っている。我々はその前にバイクを止めて記念撮影をした。

 南緯23度26分の南回帰線は熱帯圏と温帯圏を分けているが、南回帰線を越えて南下してもジリジリと大地を焼き尽くすような日差しの強さは変わらない。

 ウオルビスバイから320キロ走るとソリタールに着く。ここにはレストランとガソリンスタンド、ミニショップが砂漠の中にポツンとある。給油し、冷たいコカ・コーラを飲み、ホッとひと息、入れるのだった。

 ソリタールから50キロほどでナミブ砂漠観光拠点の「セスリエム・キャンピング」に到着。ここには連泊する。夕食のカレーライスを食べ、焚火を囲みながらワインを飲む。ここでは立命館大学の学生に会った。ウイントフックでレンタカーを借り、5人の日本人旅行者とナミビアをまわっている。メンバーの中には「世界一周」中の夫婦もいるとのことだ。

 翌日は4時、起床。マヨパンの朝食を食べると、我々はサポートカーのトヨタランドクルーザーで「デューン45」まで行く。このデューン45はナミブ砂漠でも一番よく知られている大砂丘で、砂丘の上から砂漠に昇る朝日を見ようというのだ。以前はバイクでデューン45まで走れたが、今では車のみ。そこで我々はぎゅう詰めになってサポートカーに乗り込んだ。

デューン45」を目の前にする駐車場に着くと、ハーハー肩で息をしながら砂丘を登っていく。ザラザラ砂が崩れるので歩きにくい。砂丘のてっぺんに立つと、山の端から朝日が昇る。朝日を浴びて金色に輝く砂丘の美しさには大感動。しばらくは砂丘に座り込み、刻一刻と移りかわっていく色の変化を眺めつづけた。砂丘には見飽きない魅力がある。

 存分にナミブ砂漠砂丘を堪能したあとは、伊藤さんと『月の沙漠』を大声で唄いながら砂丘を下った。「月の砂漠を はるばると 旅のらくだが行きました…」は心にしみた。

デューン45」からキャンプ地に戻ると、我々はスイカ割りをした。そのあとで食べたスイカのうまさといったらない。スイカは砂漠で食べるのに限る!

 こうして一日、「セスリエム・キャンピング」を拠点にしてナミブ砂漠を楽しんだ。

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灼熱のナミブ砂漠を行く

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炎天下、ここで昼食を食べる

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南回帰線に到達!

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南回帰線での記念撮影

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セスリエムのキャンプ場での焚火

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ナミブ砂漠砂丘デューン45」に登る

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2231、スイカ割りのあとはスイカを喰らう!