賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「南米・アンデス縦断」(8)

「ナスカ→クスコ」間はアンデス山脈の峠越えの連続だ。午前中だけで8峠を越えた。

 日本だと、たとえば奥羽山脈の峠越えではひとつの峠を越えれば、奥州側から羽州側に下っていく。三国山脈でも同じ。三国峠というひとつの峠を越えれば、関東から越後に下っていける。

 ところが何本もの山脈から成るアンデス山脈では、山脈を1本づつ越えていくので、まるで際限のないかのような峠越えになる。これが世界の大山脈というものだ。

 午後一番で越えた第9番目の峠(4330m)の一帯は平坦な高原地帯。その中にはいくつもの湖が見られた。

 峠を下ったところではパンパマルカ川を渡ったが、この川はアマゾン川の支流、パンパ川の上流部になる。

 第10番目の峠は標高3980メートル。このあたりで4000メートルの世界は終わりを告げ、3000メートルの世界になっていく。

 14時50分、ナスカから346キロのチャルワンカに到着。ここで給油。町の標高は2885メートルで空気の濃さを感じた。

 16時50分、ナスカから465キロのアバンカイに到着。ここは標高2280メートルでさらに空気は濃くなった。

 アバンカイを過ぎたところでアプリマック川を渡った。この川がアマゾン川の最長本流(最大本流はクスコの北を流れるウルバンバ川)になる。その源はかぎりなく太平洋に近い。アマゾンという大河は太平洋岸スレスレぐらいのところを源とし、南米大陸を横断し、大西洋に流れ出ていく川なのだ。

 アプリマック川はアバンカイを過ぎたところでパンパ川を合わせ、マンタロー川と合流してエネ川になり、さらにタンボ川になり、ウルバンバ川と合流し、ウカヤリ川と名前を変え、最後にアマゾン川となって大西洋に流れていく。

 アマゾン川の全長は6300キロ。長さではアフリカのナイル川(全長6990キロ)に次いで世界第2位だが、流域面積ではナイル川ミシシッピー川などを大きく引き離して、ダントツで世界第1位になっている。

 アマゾン、ナイル、ミシシッピーの「世界3大河川」を一目見ればすぐにわかることだが、アマゾン川の水量は桁外れに多いし、下流の川幅の広さといったらない。アマゾン川は他を圧して世界最大の川になっている。

 アプリマック川を渡ったあとさらに2峠を越え、22時15分、「インカ帝国の都」のクスコの到着した。ナスカから665キロ。クスコの標高は3399メートル。4000メートル級の峠を越えてくると、このくらいの高さではまったく息苦しさを感じない。

 クスコでは町中の「ムナワシイン」に泊まり、近くのレストランで遅い夕食。ペルーの伝統料理の「ロモサルタード」を食べた。肉はアルパカだ。

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アンデス山中の4000mの高原地帯を行く

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いくつもの湖を見る

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第10番目の峠。標高3980m

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アマゾン川の上流地帯

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パンパ川上流のパンパマルカ川

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アルパカ肉の「ロモサルタード」