賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(66)

 7月20日6時、青森駅前の「東横イン」を出発。青森駅前から国道7号に出ると、青森県庁前で国道4号に入っていく。青森県庁前が国道4号と国道7号の接続地点になる。 国道4号から東北一のゴールデンルート、国道103号で八甲田へ。青森の中心街を抜け出たあたりのコンビニでV-ストロームを止め、おにぎり&お茶の朝食にした。

 天気は快晴。一片の雲もない。抜けるような青空の下、V-ストロームを走らせ、八甲田へと向かっていく。青森の市街地から八甲田は近い。雲谷温泉の入口を過ぎると萱野高原への登り道になる。「岩木山展望所」でV-ストロームを止め、つづいて萱野高原でV-ストロームを止めた。青空を背にして連なる八甲田の主峰群を一望だ。

 萱野高原からは「雪中行軍避難者銅像」に寄ったあと、日本の名湯、酸ヶ湯温泉へ。朝7時から入れるが、混浴の千人風呂の方ではなく、国道103号から右手に入ったところにある「まんじゅうふかし」に行った。ここはカソリのおすすめポイント。木製の長椅子に座ると絶妙のポカポカ感で最高の気持ちよさ。「まんじゅうふかし」の蒸気浴はたまらない。

 酸ヶ湯温泉から北八甲田と南八甲田を分ける傘松峠に向かっていくと天気は急変した。天気予報で聞いていた通りで、太平洋からの冷たい風に乗って霧が押し寄せてくる。「ヤマセ」だ。傘松峠は濃霧にすっぽりと覆われていた。傘松峠下の睡蓮沼は八甲田の絶景ポイントだが、やはり濃霧で八甲田の主峰群はまったく見えなかった。

 猿倉温泉、谷地温泉蔦温泉と通り、焼山で国道102号に合流。ここからは日本一の渓流美を誇る奥入瀬渓流沿いに走る。国道のすぐ脇を奥入瀬渓流が流れている。国道102号と国道103号の重複区間を走りながら見る奥入瀬渓流の風景はすごい!

 奥入瀬渓流を抜け出ると、十和田湖畔の子の口に到着。奥入瀬川はここから流れ出る。観光船の発着する岸壁でV-ストロームを止め、十和田カルデラの大湖、十和田湖を眺めた。子ノ口で重複する2本の国道は分れ、国道102号は十和田カルデラの外輪山の峠、滝ノ沢峠を越えて黒石へ、国道103号は発荷峠を越えて大館に通じている。

 子ノ口からさらに国道103号を行く。青森・秋田県境の休屋で昼食。「とちの茶屋」で「ヒメマスの姿焼き定食」を食べた。そのあとうっそうとおい茂る森に囲まれた十和田神社を参拝し、中山半島の湖岸を歩き、十和田湖のシンボル、「乙女の像」を見た。

 休屋を出発。秋田県に入り、発荷峠へ。峠の手前の展望台から十和田湖を見下ろした。湖に突き出た中山半島と御倉半島がよく見える。この2つの半島は、十和田カルデラの中央火口丘の一部。発荷峠は外輪山の峠になる。十和田湖は火山を見るのには絶好のフィールドといえる。

 発荷峠を下り、大湯温泉から東北道の十和田ICに出た。

 十和田ICで東北道に入り、次の鹿角八幡平ICで降りる。そして八幡平横断の八幡平アスピーテラインに入っていく。

 ふけの湯温泉では混浴の大露天風呂に入った。

 ここには男性専用、女性専用の露天風呂もあるが、混浴の大露天風呂が一番広い。といっても入浴客はカソリと巣山カメラマンの2人だけだったが。

 ふけの湯温泉を後にし、秋田・岩手県境の見返峠へ。ここでも「ヤマセ」のすごさをみせつけられた。秋田県側は抜けるような青空ではるか遠くの鳥海山まで見えるのに、岩手県側は押し寄せるヤマセで視界はゼロに近い。目の前に聳える岩手山はまったく見えなかった。

 八幡平アスピーテラインで岩手県側に入り、山裾の大更まで下っていく。大更まで下るとヤマセは消えて晴れていた。最後は岩手山の「焼き走り溶岩流」。宮沢賢治の詩碑の前にV-ストロームを停め、1719年の岩手山の大噴火で流れ出た溶岩流の上を歩いた。ここを最後に大更から国道282号→国道4号で盛岡へ。

 東北道の盛岡ICに近い「ぴょんぴょん舎」で「盛岡冷麺」を食べ、巣山カメラマンと別れ、東京に向かった。盛岡ICを出発したのは19時。高速性能抜群のV-ストローム東北道を一気に走り、浦和の料金所に到着したのは翌7月21日の2時15分。関東は雨だった。こうして「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」を終えた。

 V-ストロームよ、お疲れさま!

(了)

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八甲田の萱野高原

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十和田湖の子ノ口

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発荷峠の展望台

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八幡平アスピーテラインに入る

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ふけの湯温泉の混浴露天風呂

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岩手山の「焼き走り溶岩流」に立つ

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東北道の浦和料金所に到着