賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(52)

 仙台港のフェリーターミナルに到着したのは13時30分。名古屋行きが出た後なので、フェリーターミナルはガラーンとしていた。苫小牧行きの乗船受付は16時からなので、北海道に向かう乗客はまだ来ていない。

 誰もいない待合室でしばし北海道に夢を馳せると、これまた誰もいないレストランでカレーライス(550円)を食べた。

 ぼくは駅の待合室は大好きだが、フェリーの待合室もいいものだ。

 仙台港を出発。スズキのV-ストロームを走らせ、多賀城からは国道45号を行く。塩竃では陸奥国の一宮、塩竃神社を参拝する。ここは全国にある塩竃神社の総本社。急な石段を上り、豪壮な造りの随身門をくぐり、拝殿・本殿を参拝。

 向かって右側が左宮、左側が右宮になっている。左宮は武甕槌神、右宮は経津主神をまつっている。本殿右手の別宮は塩土老翁神をまつっている。これら3神が塩竃神社の祭神だ。つづいて同じ境内にある志波彦神社を参拝。こちらも塩竃神社に負けない歴史を持っている。

 塩竃塩竃神社門前町多賀城に置かれた陸奥国国府の外港として発展した町だ。

 塩竃の次は「日本三景」の松島。ここでは国宝の瑞巌寺を参拝する。東北地方の国宝の建造物というと、平泉の中尊寺金色堂羽黒山五重塔、仙台の大崎八幡宮、それといわき市白水阿弥陀堂しかない。

 松島からは県道27号で東松島市の東名へ。ここは大きな被害を受けた所だが、大津波松島湾側からではなく、石巻湾側からのもので、野蒜海岸の堤防を越えて押し寄せてきた。カキ養殖の盛んな東名の漁港まで行くと、港のすぐ脇の赤い鳥居が残っていた。ここでも「鳥居」のすごさを見せつけられた。

 大津波で破壊されたJR仙石線野蒜駅前を通り、鳴瀬川の堤防上を走り、国道45号に合流。鳴瀬川を渡り、航空自衛隊松島基地を右手に見ながら東松島市の中心、矢本の町に入っていく。そのまま石巻へと町並みがつづいている。

 石巻に到着すると、日和山から旧北上川の河口一帯を見下ろした。

 石巻でいったん太平洋岸を離れ、国道108号で内陸の古川(大崎市)へ。

 古川からは国道47号で東鳴子温泉に行き、カソリの常宿といっていい「初音旅館」に泊まった。女将さん、若旦那とのうれしい再会。さらに東北ツーリングの最中の古山夫妻も待ち構えてくれていた。古山夫妻も「初音旅館」に泊まるという。

「これぞ東鳴子温泉!」の黒湯に入り、湯から上がると、まずはビール。そのあと夕食をいただく。酢味噌で食べる鯉の洗い、鯉の甘露煮がうまい。ホタテと菊の花、キューリの酢の物や豚肉の煮物、山菜料理を食べながら地酒の「友酔」を飲む。

 夕食後は古山夫妻との「初音宴会」の開始だ。

ツーリングマップル』を見ながら「友酔」を飲む。『ツーリングマップル』には異様なほどの興味を示す古山夫人なので、「初音宴会」は大盛上がり。気がつくと日付が変わっていた。いや~、飲みすぎた~。

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仙台港フェリーターミナルの「カレーライス」

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塩竃神社随身

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塩竃神社の拝殿

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国道45号で松島に到着

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東名の東名運河

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津波にも耐えて残った東名の鳥居

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東松島市から石巻市に入る

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東鳴子温泉の「初音旅館」

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「初音旅館」の黒湯に入る

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「初音旅館」の夕食