賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」(46)

 7月13日18時、「スズキワールド新宿」を出発し、「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」の第2弾目を開始する。スズキの650㏄バイク、V-ストロームに乗って一路、北へ。 山手通りを走り、首都高に入る。

 胸が高鳴ってくる。

「東北よ、待ってろよ!」

 と、V-ストロームに乗りながら叫んでやった。

 首都高から常磐道に入る。

 18時45分、三郷料金所着。

 19時30分、茨城県の友部SA着。ここで夕食。「いか納豆丼」(750円)を食べ、福島県のいわき勿来ICへ。「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」の第2弾目では、3月の「鵜ノ子岬→尻屋崎」のリベンジを果たすのだ。

 あらためていうが、鵜ノ子岬(福島県)は東北太平洋岸最南端の岬、尻屋崎(青森県)は東北太平洋岸最北端の岬になる。

 3月の東北はまだ冬同然の寒さだった。岩手県宮古を過ぎると雪との戦いの連続。八戸から下北半島に入っていくと激しい吹雪に見舞われ、結局、尻屋崎まであと100キロという地点で断念し、東京に戻ったのだった。

 3月のV-ストロームはオレンジ色、今回のV-ストロームはホワイトだ。

 パワフルなエンジン、ゆったりとした乗り心地、自然体で乗れる楽なライディング・ポジション…と、V-ストロームはロングツーリングには絶好のバイクだ。

 ところで2012年の新年は、V-ストロームニュージーランド南島を2200キロ走った。これは東京の旅行社「道祖神」のバイクツアー、「賀曽利隆と走る!」の第16弾目。ニュージーランド南島最大の都市、クライストチャーチを出発点にし、南島の南部周遊コースを走った。

 オアマルの海岸では世界最小のペンギン、ブルー・ペンギンの群れを見、インバーカーギルでは映画「世界最速のインディアン」の舞台を見、ミルフォードサウンドではフィヨルドの湾内のクルージングを楽しんだ。ニュージーランドの最高峰、クック山(3764m)に向かって突っ走るシーンは、強烈に目の底に残った。

 ニュージーランドの一般道の制限速度は100キロ。高速性能抜群のV-ストロームにはピッタリのコース。道は良く、交通量は少なく、快適なワインディングロードがつづくニュージーランドは、我らライダーにとっては夢のような国なのだ。

 この「ニュージーランド南島ツーリング」がカソリとV-ストロームとの宿命的な出会いになった。人生でも旅でも、何事においても、この「縁」が一番大事なことなのだとぼくは思っている。

ニュージーランド南島ツーリング」にひきつづいて走った東日本大震災1年後の「「鵜ノ子岬→尻屋崎」では、東北を2800キロ走った。

 V-ストロームで走った「ニュージーランド南島ツーリング」と「鵜ノ子岬→尻屋崎」を合わせると5000キロになった。

◇◇◇

 7月13日21時、いわき勿来ICに到着。

 三郷料金所から2時間15分。距離は150キロほどでしかない。いわき勿来ICは福島県内では常磐道最南のインターになるが、東京から驚くほど近い。「東北」というと「遠い」というイメージがあるが、じつはそれほど遠くないのだ。

 いわき勿来ICから5キロほどの白米温泉の一軒宿「つるの湯」へ。友部SAから電話した宿で、快く泊めてもらえた。ここはいままでにも何度か泊まっているので、カソリの常宿といっていい。だいたいは今回と同じように遅い時間の到着なのだが…。

 白米温泉「つるの湯」はいわき勿来ICに近いし、このように遅い時間でも泊めてもらえるので、ぼくにとってはじつにありがたい温泉宿になっている。

 さっそく「つるの湯」のこじんまりとした湯船の温泉につかる。

 その瞬間、常磐道のナイトランの疲れが吹っ飛んでいく。

「う~ん、たまらん!」

 湯から上がると、カンビールで東北に「乾杯!」。

 いよいよ「鵜ノ子岬→尻屋崎2012」の第2弾目が始まった。

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0665、V-ストロームで「スズキワールド新宿」を出発!

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0668、常磐道の友部SAに到着

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0669、友部SAの「イカ納豆丼」

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0771、白米温泉「つるの湯」

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0672、「つるの湯」の湯に入る

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7258、V-ストロームでの「ニュージーランド南島ツーリング」