賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「旧満州走破行2004」(44)

10月5日(火)晴 ハイラル→満州里(その2) 第15日目

旧満州横断ルートの国道301号で砂丘地帯を越えると、大興安嶺山脈を源とするハイラル川を渡る。川幅は広く、大河の風格。ハイラル川は中露国境の満州里の手前、ジャライノールの町近くで黒龍江上流のアルグニ川に合流する。

 黒龍江の源流はモンゴル高原。

 ぼくは1997年、「モンゴル周遊3000キロ」を走った。

 首都のウランバートルを出発し、東に50キロほど走ったところで、バイヤン・ダワを越えた。「ダワ」はモンゴル語で「峠」を意味する。バイヤン・ダワには石が積み上げられていた。それを「オボウ」という。旅の安全を祈って「オボウ」のまわりを3回、時計回りに回った。

 バイヤン・ダワを越えると、大草原の中につづくダートを走った。草原の緑が目にしみた。その中には点々と牧畜民のゲル(テント)。ヒツジやヤギ、ラクダ、馬などの家畜の群れを見る。その草原地帯をケルレン川がゆるやかに流れていた。このケルレン川が黒龍江の源流。源はバイヤン・ダワ北方のヘンティ山脈になる。

 ケルレン川は中国に入り、内蒙古自治区の呼倫湖に流れ込む。

 呼倫湖から流れ出る川がアルグン川。ハイラル川を合わせて中露国境を流れ、最大の支流、シルカ川との合流点を過ぎると黒龍江(アムール川)になる。

 中国最北端の北極村(漠河村)は黒龍江に面した村だし、今回の「旧満州走破行」でハルビンから最初に行った黒河は黒龍江に面した町だ。

 黒龍江は同江で松花江を、中国最東端の撫遠でウスリー江を合わせ、ロシアのハバロフスク、コムソモリスク・ナ・アムーレを流れ、最後はタタール海峡(間宮海峡)に流れ出る。全長4416キロ。世界第9位の大河で、アジアでは長江、オビ川、エニセイ川、黄河、メコン川につづいて第6位の長さになる。

 国道301号の橋の上にスズキQS110を停め、ハイラル川の流れを見た。

 ハイラル川を眺めながら、世界の大河、黒龍江に想いを馳せる。

「いつの日か、(その源流から河口まで)バイクで通して走ってみたい!」

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ハイラル川を渡る国道301号

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ハイラル川の流れ