「旧満州走破2004」(29)
9月30日(木)晴 漠河→塔河(その3) 第9日目
大興安嶺山脈の山中の町、磐古を出発し、塔河に戻ってきた。
ここでも漠河の時と同じように、町の入口にはスズキ軍団が待ち構えていた。
スズキのヘルメットをかぶり、スズキのウインドブレーカーを着、スズキ車に乗った10人ほどのライダーに先導されて塔河の町中に入っていく。
スズキの販売店に到着すると、そこには「熱烈歓迎日本旅行家 賀曽利先生」と書かれた垂れ幕があった。みなさんに大歓迎され、店内でひとしきり歓談したあと、駆けつけたテレビ局のインタビューを受けた。
レポーターの女性は、「賀曽利さんは中国では有名人。塔河到着の様子は夕方のニュース番組で流れますよ」といっていた。
そのあと、「熱烈歓迎著名旅行家賀曽利先生至此旅遊」などと大書された2台のトラックについて走り、塔河の町をスズキ軍団と一緒にパレードした。町行く人たちは手を振ってくれる。こうなるともう祭りのようだ。
ぐるりと塔河をひとまわりしたところでスズキの販売店に戻り、パレードは終った。
スズキの販売店からホテルまでは、スズキ軍団が先導してくれた。ホテルの入口にも「熱烈歓迎日本著名旅行家賀曽利先生一行」の横断幕が掲げられていた。それを見ると、一瞬、先ほどのテレビレポーターの「賀曽利さんは中国では有名人」の言葉を信じてしまうのだった。
ホテルの玄関前でスズキ軍団のみなさんと記念撮影をし、一連のセレモニーは終った。
さー、ここからは自分の時間。部屋に荷物を入れると、すぐに塔河の町に飛び出していく。目抜き通りの中央大街を歩く。食堂がズラズラと並んだ一角では、一軒づつ中をのぞいていった。道端に野菜類や果物、雑貨を並べた露天の夕市もあった。
日暮れ前にホテルに戻ると、地元の名士に招かれての夕食会。夕食を食べ終わると、中国酒を飲みながらの宴会になった。
すこし酔ってきたところで、参加者の一人からは、
「靖国参拝はけしからん、中国は絶対に許さない」
と、大声でいわれた。
時の首相、小泉首相の靖国神社参拝のあと、中国では全土で反日の嵐が吹き荒れた。そのような状況の中での「旧満州走破行」だったが、行く先々で大歓迎されたので、「反日の嵐」などすっかり忘れていた。それほど中国のみなさんは、ぼくを暖かく迎えてくれた。
その夢をぶち破るかのような「靖国参拝はけしからん!」の声だったが、ほかのみなさんはといえば、その声には全く無視という顔をしていた。
といったみなさんの表情がうれしくて、つがれるままに酒量が上がった。
そんな塔河の夜だった。
塔河のスズキの販売店
塔河の町をパレード
スズキ軍団のみなさんと記念撮影
塔河の目抜き通り
ここは食堂街
中央大街を歩く
中央大街の夕市
地元の名士に招かれての夕食会