賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「青春18きっぷ2010」(30)

第4日目(旭川→函館・その4)

 苫小牧の町歩きを終え、苫小牧駅に戻ると3番ホームへ。室蘭本線の苫小牧始発、12時30分発の東室蘭行が入線。3両編成の電車だ。

 定刻通りに苫小牧駅を出ると、王子製紙の苫小牧工場の前を通っていく。

 天気は変り、薄日が差してくる。日の光を浴びて、一面に鉛色の雲の垂れ込めた太平洋の一角が光っている。幻想的な眺めだ。

 このあたりに雪はまったくない。苫小牧周辺は北海道でも一、二の、雪の降らないところなのだという。

 国道36号が室蘭本線と併走している。車窓からくいいるようにして車の流れを見る。「いつもは逆なのに」

 国道36号はバイクでの「北海道一周」では必ず通るルート。いつもは国道から鉄路を見ていたが、それが今回は逆に鉄路から国道を見る。何か、不思議な気がした。

 12時53分、白老着。「苫小牧―白老」間は日本最長の鉄道直線区間だ。

 白老を過ぎると次の次が北吉原駅

 北吉原を過ぎると、右手には日本製紙の白老工場が見えてくる。ここはかつての大昭和製紙の主力工場。2001年に日本製紙大昭和製紙が合併し、日本製紙の白老工場になった。

 大昭和製紙の白老工場の完成は1960年。その5年後の1965年に大昭和製紙が全額を出して北吉原駅が完成した。大昭和製紙創業の地、吉原(静岡県富士市)にちなんでの北吉原駅。開業当初は各駅停車でも通過する列車があったという。今では普通列車(といっても本数は少ないが)は、すべて北吉原駅に停車している。

 ところで本家本元の東海道本線吉原駅は「よしわら」だが、室蘭本線の北吉原駅は「よしはら」になる。

 北吉原駅の次が竹浦駅。

 この竹浦駅から次の虎杖浜駅にかけての国道36号沿いには、白老臨海温泉から虎杖浜温泉へと温泉がつづく。温泉宿や温泉銭湯、温泉つき食堂など何軒もの温泉施設が国道沿いに点在している。あまり知られていないが、ここは北海道有数の温泉地帯なのだ。

 虎杖浜駅の次が登別駅。登別温泉は駅から遠い。

 13時32分、終点の東室蘭に到着。室蘭本線はここまでが電化されている。この先、長万部まではディーゼルになる。

 東室蘭駅では2番線に到着したが、反対側の3番線には室蘭発札幌行の特急「すずらん5号」が停車していた。それを見ると、室蘭へと想いが飛んでいく。

東室蘭―室蘭」間の室蘭本線の支線はここで分岐している。時間があれば室蘭まで行ってみたいところだが…。室蘭駅とその周辺は、ぷらぷら歩きにはけっこう楽しい所。重工業都市のイメージの強い室蘭だが、苫小牧とは違ってここには古い町並みが残っている。旧室蘭駅の駅舎も残っている。

 これはバイク旅での話になるが、室蘭駅前を出発点にし、絵鞆岬から地球岬へのルートは北海道有数の絶景ルート。ぼくの大好きなルートだ。

 すぐ近くに室蘭という都市があるのが信じられないような絶景の連続で、太平洋に落ちる断崖絶壁は目がくらまんばかり。伝説の巨岩、奇岩も数多くある。

 みなさん、室蘭はオススメですよ!

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東室蘭行が入線

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王子製紙の苫小牧工場前を通る

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薄日が差してくる

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日本製紙の白老工場

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竹浦駅

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雪解けの国道36号

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東室蘭に到着

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東室蘭までは電化されている

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室蘭発札幌行の特急「すずらん5号」(左)