賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「青春18きっぷ2010」(18)

 雪の駅前を歩いたあと、森駅に戻り、長万部行1両のジーゼルカーが停車しているホームへと、跨線橋を渡る。

 ちょうどその時、函館発札幌行の特急「スーパー北斗1号」が到着。6両編成の「スーパー北斗1号」と1両編成の長万部行が並んだ光景は目に残った。背景が雪景色なので、よけいにゾクゾクッとするようなシーンになっている。

 8時00分、大沼始発の普通列車が到着。これにはちょっとびっくり。というのはこの列車はぼくの乗った長万部行よりも1時間近くも後に大沼駅を出ているからだ。

 前回ふれたように、大沼駅函館本線は山側ルートと海側ルートに分れ、その2本のルートは森駅でまた一緒になる。

 海側ルートの長万部行が大沼駅を出発したのは6時44分。山側ルートの大沼始発森行の普通列車大沼駅を出発したのは7時30分。44分遅れて出発した列車が、森駅で先行する長万部行に追いついた。それに驚かされたのだ。

 本数極少の函館本線で、先行の列車に追いつけるなんて。

函館本線殺人事件』か何かの鉄道ミステリーのトリックに使えるネタではないか…と思ったりした。もうすでに、そういう作品が出ていたりして。

 森駅に31分停車した長万部行は8時05分に発車。乗客はぼく1人…。

 森を出ると、内浦湾(噴火湾)がよく見えるようになる。右手の車窓いっぱいに雪雲のたれこめた鉛色の海が広がっている。内浦湾の湾岸一帯もかなり激しく雪が降っている。

 北海道の幹線、国道5号が函館本線の線路と平行して走っている。普段だと法定速度をはるかに超える速度で車が走る国道5号だが、さすがに降りしきる雪にはかなわないようで、どの車もかなりスピードを落としている。そのため、長万部行の列車は次々と車を追い抜いていく。

 桂川石谷本石倉、石倉と通り、8時27分に落部に到着。ここで何人かの人たちが乗ってくる。次の野田生でも、その次の山越でも乗ってくる。かなりの乗客になったところで8時44分、八雲に到着。ここで全員が降り、また乗客は自分1人になった。

 八雲の3つ先の駅、黒岩駅では反対方向の特急列車待ち。このあたりは単線区間で、2つ先の駅、国縫駅を過ぎるとまた複線区間になった。

 9時30分、終点の長万部に到着。

 ガラガラ状態で函館駅を発車した1両編成の列車は、ガラガラ状態で長万部駅に到着した。

 長万部発の函館本線・小樽行は12時11分なので、ここでは2時間41分ある。

「さー、温泉だ、温泉だ!」

 とばかりに「温泉のカソリ」、雪の長万部の町に飛び出していった。

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雪の森駅

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森駅で特急列車の待ち合わせ

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森駅からは線路の向こうに内浦湾が見える

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内浦湾の漁港

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石谷駅

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函館本線に平行して走る国道5号

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野田生駅

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黒岩駅

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ワンマンカーの運賃表

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長万部に到着

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雪に埋もれた長万部駅