賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(85)松山→宇和島

(『ジパングツーリング』2002年6月号 所収)

 二神島から松山・三津浜港に戻ると海沿いの道で長浜へ。その途中で夕日が瀬戸内海に落ちていく。SMXを停め、夕日に染まった忽那諸島を眺めた。

 長浜の旅館「福田屋」でひと晩、泊まる。

 翌朝、肘川にかかる日本最古の可動橋、長浜大橋の上で“肘川嵐”を見た。すさまじい光景だ。雲ひとつない晴天なのに、肘川の谷間からは川霧がゴーゴーうなりをあげて、猛烈な勢いで瀬戸内海の方向に流れていく。

 長浜港から青島に渡る。船は1日2便。7時30分発の「あおしま」(31トン)。バイクは不可なので、スズキSMX50は港に置いていく。青島までの往復は1320円。

 青島は愛媛県の島としては、瀬戸内海で一番、西になる。それだけに、どうしても見てみたかった。青島までは45分の船旅。

 港周辺に40戸ほどの家々がかたまっている。ここが青島唯一の集落。集落内を大急ぎで歩き、港に戻り、折り返しの8時30分発の「あおしま」で長浜港に戻った。15分間の青島滞在。次の便は16時15分発なので仕方がなかった…。

 長浜からは国道378号で八幡浜へ。そこから四国最西端の佐田岬まで行き、八幡浜に戻ると、海沿いの国道378号を南下。瀬戸内海から宇和海へと海が変わる。

 大島や嘉島、戸島などの宇和海に浮かぶ島々を眺め、宇和島へ。

 宇和島に到着するとすぐに港に行き、16時40分発のフェリー、愛媛南汽船の「第八くしま」で九島に渡った。宇和島港の目の前に見える島だ。人&バイクの往復で1760円。終点の本九島港に到着すると、島を時計回りに一周。夕日に染まった真っ赤な宇和海が強烈に目に残る。

「九島一周」は10キロ。本九島港に戻ると、つづいて第2周目に出発。真っ暗な夜道を走り、19時10分発の最終便のフェリーで宇和島港に戻った。

 宇和島では宇和島駅に近い「宇和島パークホテル」に泊った。

 九島に「島民宿」があれば、九島で泊まりたかった…。