賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(84)二神島(愛媛)

(『ジパングツーリング』2002年6月号 所収)

 反時計回りでの「中島一周」終えると、大浦港から中島一周道路の県道41号を戻り、神浦港へ。そこで17時50分発の中島町営汽船のフェリー「第2ななしま」に乗船。二神島に渡った。

 忽那諸島の怒和島、津和地島と2島を経由し、19時13分、二神島の二神港に到着。満天の星空だ。

 港には民宿「西野」の奥さんが出迎えてくれた。中島から電話を入れておいたのだ。

 遅い時間の到着にもかかわらず、夕食も用意してくれていた。

 ヤズの刺し身とタモリの煮魚、ヤズの酢の物、メバルの味噌汁と、魚づくしの夕食だ。

 夜中の2時半に起き、2階の部屋の窓をあけ、「しし座流星群」が見る。

 窓をあけた瞬間、対岸の怒和島の方向に流れていく流星を見る。最初のうちは流星を数えていたが、そのうちにやめた。それほどの数。

 このような現象を「流星雨」というそうだが、ぴったりの言葉だ。長く明るい「流星痕」を残していく流星も見る。いっぺんに3つ、平行して流れていった流星も見た。

 1時間ほど、毛布と布団をかぶって「しし座流星群」を見たが、その数はいくつぐらいになるのか、見当もつかない。それほどの数だった。

 翌朝は7時に朝食をいただいた。

 食べおわると、民宿の奥さんの藤田洋子さんから、いろいろな話を聞かせてもらった。東京の大学を出ている方だが、三軒茶屋に住んでいたという。なつかしそうに「サンチャ(三茶)」の話をしてくれる。

 二神島の話もいろいろとしてくれた。それが心に残る。「島民宿」はほんとうにいい!

 二神島から松山・三津浜港へのフェリーは7時16分発と14時58分発の1日2便。

 14時58分発に乗るつもりにしていたので、たっぷりと時間がある。そこで午前中はぷらぷらと島を歩いた。

 二神島は漁業の盛んな島。漁港の大きな生け簀では、ハマチやタイ、ヤズ、アジなどの活魚を見た。二神島の魚は味の良さで定評がある。流れの速い潮でもまれた魚だからだという。

 漁港からは「情島の鯛」で知られる山口県の情島が見えた。

 島の南側に出ると、興居島や四国本土の山並みを真正面に見る。港から1時間ほど歩いた所で道は行止まりになった。

 昼食は民宿「西野」で。民宿の奥さんの藤田さんが、

「お昼はサービスしてあげるわね」

 といってくれたのだ。

 メイタガレーの唐揚げとヤズの刺身つきのイカ入炒飯をつくってくれた。ご馳走さま!

 昼食後はスズキSMX50を走らせ、最初は西へ。3・2キロ地点で行止まり。

 次に東へ。5・0キロ地点で行止まり。二神島では合計16・4キロを走った。

 こうして14時58分発のフェリー、松山・三津浜行きの「第二ななしま」に乗った。