賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(68)能登島(石川)

(『ジパングツーリング』2002年4月号 所収)

 金沢では金沢駅近くのビジネスホテル「キバヤシ」(1泊4000円)に泊まり、翌朝、一気に能登半島の輪島へ。雨が降っている。

 輪島に着くとすぐさま輪島港へ。

 大きな漁港で、漁船が港を埋めつくしている。

 ここからは日本海の孤島、舳倉島に船が出ている。この季節は1日1便。だが、残念ながら舳倉島への船は出たあとだった…。

 舳倉島の周辺はアワビやサザエ、海草類の宝庫で、夏の間は輪島の海士(あま)町の漁民が季節的に移住することで知られている。また、次の機会に舳倉島には行こうと思う。

 輪島といえば朝市だ。雨の朝市を歩く。すごい人出。歩きながらイシル焼きの鯛ちくわを食べた。イシルは能登特有の魚醤油。秋田のショッツルのようなものだ。

 輪島からは海沿いのルートで能登半島突端の禄剛崎へ。

 その途中では白米の千枚田、曽々木海岸、仁江の日本で唯一の揚浜塩田と見ていく。

 禄剛崎に近づいたところで、渡っていける島を発見! 大崎島だ。岩だらけの小島には板を渡した橋がかかっている。

 狼煙(のろし)の集落に着くと、禄剛崎まで歩いていく。岬の先端には白い灯台。最涯感の漂う禄剛崎だ。

 禄剛崎からは能登半島東側の内浦を行く。波静かな海だ。

 内浦に対して能登半島西側は外浦と呼ばれている。内浦とは対照的に波が荒い。とくに冬、季節風が吹くころは大波が押し寄せる。

 珠洲の手前、のと鉄道の終着駅、蛸島駅でSMX50を停める。

 終着駅というのはなんともいえない旅情がある。ホームにはちょうど穴水行きの1両編成の列車が停まっていた。この蛸島駅の近くに渡っていける島がある。蛸島漁港の目の前に浮かぶ弁天島だ。鉄製の錆びた橋を渡り、堤防の上を歩いて島に入っていく。海岸では子供たちが釣りをしていた。

 弁天島には蛸島姫神社がまつられている。

 珠洲の町の入口では「海浜あみだ湯」(入浴料350円)に入る。大浴場。海の見える湯船もある。湯から上がると珠洲の町並みを走り抜け、能登半島のシンボルといってもいいような見附島、通称軍艦島を見る。ほんとうにそっくりだ。見ればみるほど軍艦に似た形をしている。引き潮のときだと、飛び石づたいに島まで行ける。

 穴水を通り七尾へ。雨が一段と激しくなってくる。右手の海には能登島。島全体が能登島町になっている。人口3500人の1島1町の島だ。

 能登島には2本、橋がかかっているが、和倉温泉に近い能登島大橋を渡った。

 沖に浮かぶ寺島と鳥島の2つの島を見る。

 能登島をぐるりと一周したあと、ひょっこり温泉「島の湯」(入浴料450円)に入る。ここはおすすめの温泉だ。大浴場には熱めの湯、ぬるめの湯と2つの湯船。サウナもある。大露天風呂からは湯につかりながら灯りはじめた対岸の七尾の町明かりを見る。

 湯から上がると、食堂で夕食。ラーメンライス(600円)を食べた。食べおわると休憩室で1時間ほど眠り、七尾から富山へ。

 最後は東京までの一気走り。

「富山→東京」を11時間45分で走った。