賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

日本列島岬めぐり:第43回 室戸岬(むろとみさき・高知)

(共同通信配信 1990年)

 土佐湾をはさむように、西の足摺岬と相対して、東の室戸岬が太平洋に突き出ている。 その室戸岬には高知から国道55号で向かった。

 国道は室戸岬のすぐわきを通っている。スズキ・ハスラーTS50を停め、岬先端の岩場に立つ。海水を手ですくって顔を洗う。岬の沖合いをコンテナ船やタンカーなどの大型船が通り過ぎていくが、異様な大きさに見えた。

 室戸岬には「陸援隊」の中岡慎太郎の巨大な銅像が建っている。土佐人は大きな銅像が好きなようで、足摺岬の「ジョン万次郎」こと中浜万次郎の像も、高知の桂浜に建つ「海援隊」の坂本龍馬の像も、見上げるほどの大きさだ。

 室戸岬は海岸段丘が発達している。岬先端の海岸から段丘を登っていくと、室戸岬漁港の向こうに広がる室戸の市街地を一望する。

 段丘上には四国霊場八十八ヵ所第24番札所の最御崎寺がある。ここは通称「東寺」で、室戸の市街地の西にある第26番札所の金剛頂寺が「西寺」と呼ばれている。この東寺から西寺にかけての一帯が室戸なのだという。

 最御崎寺のすぐ下に灯台がある。灯台とは逆方向に5分ほど歩いたところには測候所がある。

 室戸岬は「台風銀座」で有名だ。

 伊勢湾台風と並ぶ日本台風史上の双璧、室戸台風は昭和9年9月21日、この地に上陸。912ミリバールという超低気圧を記録し、日本各地で3066人という死者行方不明者を出した。さらに昭和36年9月15日に上陸した第2室戸台風では最大瞬間風速84・5メートルという猛烈な風が吹き荒れた。

 これら日本の気象史上に残る数値を記録したのが、室戸岬の測候所だった。

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室戸岬からは室戸の市街地を一望する