賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

秘湯めぐりの峠越え(56)半原越編(神奈川)

 (伊勢原→伊勢原60キロ・取材日1996年9月11日)

我が家から2キロの最短温泉!

 今回は前回の「箱根」よりも、もっと我が家に近い「東丹沢」。箱根が我が家の外庭だとすると、東丹沢は内庭みたいなものだ。

 丹沢の東側には大きな断層線が走っている。その断層線に沿って点々と温泉があるが、それら東丹沢の温泉をめぐるのだ。

 今回のバイクはスズキ・ハスラーTS50。このハスラーは「日本一周」&「世界一周」の4万5000キロを走ったすごいヤツ。いまだに健在なのである。

 出発は午前11時。今回もゆっくりとした出発だ。

 第1湯目は我が家から2キロ、走りはじめて5分の鶴巻温泉。小田急線の鶴巻温泉駅に近い「鶴巻温泉会館」の湯に入った。休憩室ではオバチャンたちのグループが、カラオケで大いに盛り上がっていた。

 いったん我が家に戻り、昼飯を食べ、第2湯目の伊勢原温泉へ。

 最近湯を掘り当てた「鳥松園」の内風呂と露天風呂に入る。この露天風呂は眺望抜群!

 湯につかりながら、我が家を含めて、我が町、伊勢原を一望する。同じ伊勢原温泉の中でも、「ニュー天野屋」や「山吹温泉」よりもこの「鳥松園」は、より我が家に近いところにある。

 第3湯目は七沢温泉「七沢荘」の露天風呂。日本の100名湯の温泉旅館にも選ばれたことのある「七沢荘」だけあって、ここの露天風呂は本格派だ。

 第4湯目は古風な1軒宿、広沢寺温泉の「玉翠楼」。ここでも露天風呂に入る。無色透明の湯はやわらかな感触で、若干のぬめりがある。

 第5湯目のかぶと湯温泉も1軒宿の温泉。東丹沢では、一番、ひなびた温泉。渓流の音が耳に心地よい。残念ながら、入浴のみは土、日だけで、ここでは入れなかった。

 第6湯目は別所温泉。温泉宿の奥に村営の湯「別所の湯」がある。休日だとワサワサ混む「別所の湯」だが、平日はゆったりと入れる。杉林を目の前にする露天風呂がいい。

 第7湯目は、別所温泉から2キロの飯山温泉。「美登利園」の露天風呂に入ったが、ここまで、家を出てからわずかに20キロ。さすがに“温泉のカソリ”、温泉環境抜群のいいところに住んでいる!

法論堂林道の半原越

 飯山温泉から別所温泉に戻り、土山峠へ。峠下で右折し、法論堂林道への道に入っていく。丹沢の大半の林道が舗装されたように、この法論堂林道も全線が舗装。半原越を越える峠越え林道で、峠下には「リッチランド」の3段の露天風呂がある。気分よく入れる湯だ。

 半原越からは行き止まり林道の法華峰林道を走ったが、関東平野を見下ろす眺めのよい林道。往復6キロのダートコースだ。

 半原越を下るとR412に出る。その近くの中津川右岸には塩川温泉。1軒宿「小まや」の湯に入る。ここの中津川産の天然アユをつかったアユ料理はうまい。すぐ近くには塩川滝。深山幽谷の修験の滝。そんな塩川温泉を最後に、R412で厚木に出、R246で伊勢原に戻った。

■一口メモ■

 丹沢周辺の温泉だが、今回、立ち寄った東丹沢の温泉群のほかに、西丹沢には“信玄の隠し湯”で知られる中川温泉がある。また、北の裏丹沢の山麓、山梨県の道志村にはR413から3、4キロ入ったところに道志温泉がある。東丹沢の温泉群も西丹沢の中川温泉も、ともに断層線上にあるが、断層と温泉の関係はきわめて深い。                   

■半原越編で立ち寄った温泉一覧■

1、鶴巻温泉   温泉会館  600円 平日は10時~16時だが金、土、日は19時 

2、伊勢原温泉  鳥松園  1000円 露天風呂から伊勢原さらには湘南を一望 

3、七沢温泉   七沢荘  1000円 ここの露天風呂はいい。ゆったりできる 

4、広沢寺温泉  玉翠楼  1000円 名刹の広沢寺に隣りあった純和風温泉宿 

5、かぶと湯温泉 山水楼  1000円 入浴のみは土、日11時~17時に限られる 

6、別所温泉   別所の湯  700円 村営湯。2つの湯船と露天風呂 

7、飯山温泉   美登利園 1000円 樹木に囲まれた天然石の露天風呂 

8、リッチランド 入浴施設   650円 3段の露天風呂。キャンプ場などがある 

9、塩川温泉   小まや   500円  R412沿いにある宿。アユ料理が名物