秘湯めぐりの峠越え(55)矢倉沢峠編(神奈川)
(伊勢原→伊勢原102キロ・取材日1996年9月8日)
箱根の共同浴場めぐり
今回の出発点は神奈川県伊勢原市の我が家だ。
相棒は「インドシナ一周1万キロ」(1992年~1993年)を走ったスズキRMX250S。“アジアの虎号”のRMXは、いまだに健在。庭の片隅に置きっぱなしなのだが、ほこりをはたいて3、4発目のキックでエンジンがかかる。
目的地は箱根。我が家からだと庭同然の近さなので、簡単に行けるフィールドなのだ。 で、午前11時という遅い時間の出発ということになった。
R246から東名の秦野中井IC入口を通り二宮へ。西湘バイパスに入る。相模湾を眺め、前方に箱根や伊豆半島の山々を眺めながら走るこのコースは、いつ走ってもいい!
箱根の第1湯目、箱根湯本温泉に到着したのは家を出てから40分後。距離も38キロでしかない。
ここでは共同浴場「弥坂湯」に入ったが、ほかに入浴客もいないので、円形の湯船を独り占めにして湯につかる。入浴料350円の極楽気分!
箱根湯本温泉からはR1を行く。
第2湯目の塔之沢温泉では「上湯温泉」、第3湯目の大平台温泉では「姫之湯」、第4湯目の宮ノ下温泉では「太閤湯」と、共同浴場の湯に入った。天下の箱根にも300円くらいの入浴料で入れる温泉があるのだ。
宮ノ下温泉に隣りあって堂ヶ島温泉がある。
早川の谷底にはケーブルカーで下っていく「対星館」と、ロープウェーで下っていく「大和屋ホテル」があるが、ともに、入浴のみは不可‥‥。
もう1湯、“太閤の石風呂”で知られる底倉温泉がある。だが、一軒宿「つたや」の入浴料は2000円なので、残念ながらパス…。
そのかわり、早川の支流、底倉川の谷底に降りて、本物の“太閤の石風呂”に入った。渓流の水よりはすこし温度が高いようだったが、水同然だ。この“太閤の石風呂”は、秀吉の小田原攻めのときにつくられたものだという。
明神林道の矢倉沢峠
宮ノ下温泉からは、R138を行く。早川沿いのルートだ。すぐに、木賀温泉。だが、ここには、入浴だけさせてくれるところはない。
強羅温泉との分岐を過ぎ、早川の峡谷を走り抜けると宮城野温泉。ここでは日帰り入浴温泉の「勘太郎の湯」に入った。内風呂と露天風呂。日曜日ということで、ワサワサと混み合っていた。
箱根湯本温泉からこの宮城野温泉までは、わずかに10キロ。その間に5湯の温泉に入ったので、足がもつれるくらいにフラフラになる。
それでも“温泉のカソリ”、RMXを走らせ、仙石原温泉へ。
ここには仙石温泉、俵石温泉、元湯温泉、上湯温泉、下湯温泉と5つの温泉があって、それらを総称して仙石原温泉といっている。が、パス…。
仙石原からは明神林道に入っていく。なんということ。しばらく来ないうちに、矢倉沢峠の金時トンネルまで舗装。峠を下っても舗装で、全線が舗装されていた…。
矢倉沢から関本へ。そして松田からR246で伊勢原に戻った。
■一口メモ■
明神林道で越えた矢倉沢峠は箱根外輪山の峠。金時山(1212m)の南に位置する。金時トンネルが峠を貫いている。もともとの矢倉沢峠は登山道の峠で、さらにそれよりも南側になる。
なお、今回立ち寄った9湯のほかに、箱根には強羅温泉、二ノ平温泉、小涌谷温泉、芦ノ湯温泉、湯ノ花温泉、芦ノ湖温泉、姥子温泉などがある。昔は「箱根七湯」といわれたが、それは箱根湯本温泉、塔之沢温泉、堂ヶ島温泉、宮ノ下温泉、底倉温泉、木賀温泉、芦ノ湯温泉の7湯。後に8湯になり、9湯になり、12湯になり今は20湯だ。
■矢倉沢峠編で立ち寄った温泉一覧■
1、箱根湯本温泉 弥坂湯 350円 「いかにも共同浴場」の感。9時~20時
2、塔之沢温泉 上湯温泉 300円 常連さんの多い湯。9時30分~21時30分
3、大平第温泉 姫之湯 300円 きれいな浴室。円形の湯船。9時~22時
4、宮ノ下温泉 太閤湯 260円 熱い湯。2階に休憩室。9時~21時30分
5、堂ヶ島温泉 --- ---- 早川の谷底に2軒の宿。入浴のみは不可
6、底倉温泉 --- ---- 「つたや」の入浴料は2000円でパス
7、木賀温泉 --- ---- R138沿いの温泉。入浴のみは不可
8、宮城野温泉 勘太郎の湯 700円 日帰り入浴の温泉。内風呂と露天風呂
9、仙石原温泉 --- ---- 上湯、下湯など5つの温泉があるがパス