賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(20)大島(青森)

 (『ジパングツーリング』2001年9月号 所収)

 

 大島から気仙沼港に戻ると、「岬めぐり」を開始だ。

 唐桑半島突端の御崎までいく。岬への入口には御崎神社。岬に神社はつきものだ。岬の周辺にはまだ椿の花が咲いていた。

 岬の灯台の先には、黒色粘板岩の岩場が幅30メートル、長さ100メートルにわたったて海に突き出ている。“八艘曳”と呼ばれる岩場で、御崎神社の祭神が、8艘の船でここに上陸したのだという。

 国道45号に出、宮城県から岩手県に入り、陸前高田へ。

 そこから広田半島に入り、半島先端の広田崎に立つ。ウミネコの椿島が目の前だ。それともうひとつ、“黒崎仙峡”と呼ばれるV字の岩の割れ目がすごい黒崎にも立った。

 そして碁石岬へ。岬の展望台に立つと、さきほどの唐桑半島が目の前の海に長々と延びて横たわっている。その右手には広田半島が見える。

 山田湾岸で野宿し、重茂半島に入っていく。ここは日本の秘境。「重茂」で「おもえ」と読む。

 姉吉漁港から本州最東端のトドヶ崎まで歩いていく。その間、4キロ。ここには東北一のノッポ灯台が立っている。岬の岩場は斧でスパーンと割ったように、きれいに2つに割れている。その岩場の上に「本州最東端」の碑。早朝の誰もいない岬を自分一人で独占した。

 宮古から陸中海岸を北上。天気が崩れ、雨が降ってくる。あっというまに激しい雨になる。雨宿りを兼ねて小本温泉(入浴料600円)に入った。湯につかり、食堂で刺し身定食(1000円)の昼食を食べ終わるころには、ありがたいことに雨は上がった。

“海のアルプス”を思わせるすばらしい海岸美の北山崎、北緯40度線上の黒崎と「岬巡り」をし、久慈へ。またまた激しい雨‥‥。

 久慈からさらに国道45号を北へ。

 岩手県から青森県に入り、海沿いの県道1号で八戸に向かう。八戸の町の入口あたりに、今では陸地とつながている“ウミネコの島”、蕪島がある。島には弁財天をまつった蕪島神社。何万羽ものウミネコ鳴き声がすさまじい。

 八戸から下北半島に入っていく。小川原湖の湖畔で野宿し、下北半島突端の尻屋崎に立つ。抜けるような青空に白い灯台がよく映える。ここには「本州最涯地」碑が立っている。

 下北半島の中心、むつ市から大畑に行き、奥薬研温泉に寄り道する。ここでは男女別の「夫婦かっぱの湯」、混浴の「かっぱの湯」、それともう1湯、河原の混浴露天風呂に入った。これら3湯はすべてうれしい無料湯だ。

 大畑に戻ると、「佐藤写真館」の佐藤さん、「工藤自転車店」の工藤さんと、なつかしの再会。そして民宿「松ノ木」に泊まった。

 翌日、早めにしてもらった朝食を食べ、7時、大畑を出発。下風呂温泉では共同浴場「大湯」(入浴料300円)に入り、朝風呂を楽しんだ。

 本州最北端の大間崎に立ち、下北半島をぐるりと一周し、むつ市経由で野辺地へ。そこから国道4号で青森へ。その途中で、夏泊半島に入っていく。

 夏泊半島突端の夏泊崎の先に大島がある。大島には錆びた鉄の橋を渡って入っていった。

 大島を最後に青森へ。夕暮れの青森駅前に到着。全行程2017キロの「東京→青森」だった。