賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの林道紀行(11)中部編(その2)

今回走った林道と峠を紹介しよう。

(林道)

1、泉水谷・横手山林道

国道411号(青梅街道)の南を走る林道。東京寄りの東側から入っていったが、目印は国道左側にある元東京市長尾崎行雄多摩川「水源踏査記念碑」。記念碑の手前を左に下っていく。国道から0・7キロ地点で泉水谷林道のダートに突入。渓流沿いの曲がりくねった幅狭い道。路面もそこそこに荒れている。横手山林道に入ると渓流を離れ稜線に向かっていくが、道幅は広くなり、路面も整備されている。最後は国道411号に出る。ダート13・4キロ

2、大ダル林道

泉水谷・横手山林道で国道411号に出、柳沢峠に向かっていくと、右側に大きな林道の案内板が立っている。そこが大ダル林道の入口だ。入口からダートなのがうれしい。『ツーリングマップル』関東編ではグルリとまわって、また国道411号に出られるようになっているが、実際には行き止まり林道。道幅が広く走りやすい。多摩川源流地帯の稜線近くからの眺めがすごくいい。7・4キロ先の行き止まり地点まで行く価値あり。ダート往復14・8キロ

3、砥山林道

国道411号の裂石から上日川峠を越え、峠を下ったところで砥山林道に入った。入口から2・3キロ地点でダート。上日川ダムによってできた大菩薩湖を見下ろす。砥山林道は大菩薩湖の西側をグルリとまわりこむようにして、またさきほどの上日川峠越えの道に合流。よく整備された走りやすい林道。砥山林道出口から上日川峠に向かったところに「ペンションすずらん」。食事のみもOK。「ライダー定食」(1300円)はおすすめだ。ダート6・2キロ

4、東山中部林道

焼山峠の峠下集落、塩平から入った。林道入口には石仏や石塔。これが目印だ。すぐにダートに突入し、森林の中を貫いて南に向かって走る。右に折れるダートは一ツ木水ヶ森林道で水ヶ森林道に通じている。途中には短い舗装区間あり。山並みの中腹から赤芝の集落に下ったところで舗装に変わる。さらに舗装林道が県道31号の太良峠近くの切差の集落までつづく。途中で名無しの峠を越えるが、その峠周辺だけが短いダートになっている。ダート6・9キロ

5、水ヶ森林道

県道31号の太良峠から入った。稜線の近くを走るので、見晴らしがいい。富士山も見える。すっかり舗装区間が延び、林道入口から12・9キロ地点でやっとダートに入る。ところが1・9キロ先の一ツ木水ヶ森林道との分岐点を過ぎると、ふたたび舗装路…。乙女高原に向かっていく途中で1・8キロの短いダートがある。我らオフロードライダーには悲しくなるが、かつての水ヶ森林道の面影は今はまるでない。全線の舗装化が間近だ。ダート2区間で3・7キロ

6、千曲川源流林道

信州・川上郷最奥の集落、梓山から入っていく。分岐を左に行くと三国峠を越えて中津川林道に通じている。右に行く道が千曲川源流林道。高原野菜畑が尽きると千曲川源流沿いのダートになる。樹林の中を気分よく走れる、と思ったら、なんと1・0キロ地点で行き止まり。広々とした「毛木場駐車場」ができている。休憩用の立派な東家やトイレもある。ここからだと十文字峠が近い。甲武信岳の登山口にもなっている。ダート往復2・0キロ

7、川上牧丘林道

山梨県側の入口、柳平周辺はダム建設で様相が一変した。川上牧丘林道の山梨側入口は工事中で通行止め(6月30日まで)だったので、大きく迂回し、信州側を往復した。かつてのロングダート、川上牧丘林道も山梨側が全線舗装となり魅力半減といったところだが、うれしいことに信州側はほとんど変わっていない。路面は適度に荒れていて峠近くは大粒の石がゴロゴロしている。急カーブが連続し、勾配も急なので特に下りは要注意。ダート往復17・8キロ

8、茂来林道

南側のぶどう峠を越える県道124号から入った。入口に「茂来林道」の標柱が立っている。県道から1・5キロ地点でダートに突入。これがダートの第1区間北相木村から峠を越えて小海町へ。第1区間のダートは11・5キロ。水上の集落に下ると舗装路になり、すぐに分岐を右へ、第2区間のダートに入る。4・1キロのダート区間を走り抜け、市の沢の集落からは第3区間になる。第3区間のダート10・1キロを走り、国道299号に出た。3区間のダート合計は25・7キロ。

9、樫山林道

クリスタルライン木賊峠から増富温泉方向に0・4キロ下ったところが入口。そこから樫山林道を下った。道幅の広い舗装路に変わっていたが、林道入口から1・0キロでダートに突入。カラマツ林の中を走る。ところが激しい勢いで林道を舗装化している山梨県、この樫山林道も例外ではなく、3・8キロのダートを走ると舗装。そこから樫山の集落に下っていくと、その手前に1・0キロのダート区間が残っていた。樫山から県道23号へ。ダート2区間4・8キロ

10、鈴嵐林道

韮崎の釜無川対岸の武田が甲州の武将、武田氏発祥の地。そこにまつられている武田八幡神社に参拝したあと、鈴嵐林道に入っていく。なんともうれしいことに、この鈴嵐林道はそれほど変わっていない。渓流沿いのダートは道幅が狭く、路面は荒れ、急カーブが連続する。一気の登りで急勾配。鳥居峠に近づくと樹林を抜け出て展望がよくなる。舗装化が進む御庵沢林道にぶつかるまでがダート。走りごたえ十分の鈴嵐林道だ。ダート往復12・0キロ

11、小字沢林道

釜無川をはさんで国道20号の対岸を走る県道12号から県道613号で甘利山(1672m)の山頂直下へ。時間があればぜひとも甘利山の山頂まで登ったらいい。簡単に登れる。山頂からの風景は絶景。富士山がきれいだ。その甘利山の山頂直下から入っていくのが小字沢林道。すっかり舗装化がすすみ、林道入口から3・3キロ地点で、やっとダートに突入。だが、それもつかのま、すぐに舗装路に変わり、小武川林道とのT字にぶつかった。ダート2・0キロ

12、小武川林道

小字沢林道とのT字の分岐点を右折し、国道20号に向かって走った。この小武川林道は、この周辺の林道群の大半が舗装化されていく中で、それほど変わらずに残っている。小武川沿いの道幅の広いダートで走りやすい。御座石温泉に通じる御座石林道が左へと分岐している。8・1キロのダートを走りきり、国道20号の宮脇の交差点に出た。なお小字沢林道との分岐点からさらに小武川の上流方向に行くと、青木温泉の近くを通り、かなり上流まで行ける。

(峠)

1、柳沢峠

国道411号で越える峠。標高1472m。峠の茶屋があり、「麦とろめし」が名物。ここからは富士山がよく見える。多摩川の源流地帯にはほかに石丸峠、大菩薩峠、丸山峠、寺尾峠、六本木峠、板橋峠、白沢峠があるが、すべて登山道の峠。

2、上日川峠

笛吹川上流の日川源流の峠。国道411号の裂石と国道20号の初鹿野を結んでいる。かつては超ハードなダートルートだったが、今では全線が舗装路。峠には「ロッジ長浜衛」。ここから大菩薩峠までは徒歩約70分。

3、太良峠

甲府と山梨市の日下部を結ぶ県道31号の峠。絶景峠で甲府の町並みを一望する。足下には武田氏の本拠地、館跡の武田神社。峠で分岐する水ヶ森林道は、帯那山(1422m)や水ヶ森(1553m)の山頂近くを通る。

4、大弛峠

川上牧丘林道で越える山梨・長野県境の峠。標高2360mで、日本の自動車道の峠としては最高所。ちなみに国道の最高所峠は標高2172mの渋峠。奥秩父連峰の最高峰、北奥千丈岳(2601m)に1時間で登れる。

5、馬越峠

千曲川の源流が流れる川上村の村役場がある大深山から入っていく。県道2号で越える峠。小刻みなカーブが連続し、それらのカーブに番号がついている。峠は川上村と南相木村の境で標高1620m。峠を下ると立原高原。

6、信州峠

山梨・長野県境の峠。標高1470m。この峠を越えて甲州から信州に入ると、夏でもガクンと気温が下がる。昔は甲府盆地佐久平を結ぶ重要な峠だった。今は衰退している。信州側に入ると川上郷の見事な高原野菜畑。