賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの林道紀行(9)「関西編」(その4)

 (『バックオフ』2004年1月号 所収)

(播但の林道)

兵庫県西部の播磨と但馬の「播但」、それプラス鳥取県東部の因幡の林道、合わせて14本を走った。渓谷沿いの林道ではちょうど紅葉が見頃だった。それら14本の林道を紹介しよう。

1・野尻林道

国道29号の芳賀町野尻から入る。峠越えの林道。峠では阿舎利山方向への林道と分岐。行止まり林道でダート9・4キロ。

2・音水(おんずい)林道

国道29号の波賀町日ノ原から入る。すばらしい渓谷美の音水渓谷沿いに走る。ここは関西圏屈指の紅葉の名所。行止まり林道でダート7・4キロ。

3・糸白見林道

国道29号の糸白見から入る。国道から1・7キロ地点でダート。道幅は狭い。国道から6・9 キロ地点にゲート。ダート5・2キロ。

4・東因幡林道

国道482号の鳥取兵庫県境の峠から入った。全線が鳥取県側の林道。稜線の近くを走る。ダート15・2キロ。往復して峠に戻る。

5・氷ノ山(ひょうのせん)林道

国道29号の戸倉峠のトンネル手前から入った。氷ノ山(1510m)の中腹を縫って走る。ダート14・4キロ。舗装化進む。

6・瀞川(どろかわ)林道

ハチ高原の民宿「青い鳥」前の道が入口。2・9キロ先でダートに突入。稜線上を行く。絶好の展望台あり。ダート10・9キロ。

7・蘇武妙見林道

日高町の稲葉から入った。峠までの4・0キロがダート。そこから蘇武妙見林道になり、蘇武山までの7・6キロがダート。舗装化進む。

8・志倉道谷林道

波賀町の道谷側から入った。若杉峠に一番近い道が入口。峠越え林道でラフな路面が一宮町側までつづく。ダート7・3キロ。

9・横住林道

一宮町の福中から入った。ダート入口にはキャンプ場。横住川の渓流に沿って走る。道幅は狭い。ラフな路面。ダート4・1キロ。

10・奥田谷林道

千町林道に入るつもりが、そのまま直進し、この林道に迷い込む。ダート2・1キロ地点で行止まり。途中、森林公園を建設中。

11・千町林道

最奥の上千町の集落の手前で右折し、この林道に入る。千町峠までのダートは4・1キロ。峠で幅広の千町段ヶ峰林道と交差する。

12・千町段ヶ峰林道

千町峠から大河内町側の区間を走った。幅広の走りやすい林道。ダート4・4キロ。舗装化進む。千町峠の反対側は生野に通じる。

13・峰山高原林道

舗装の峰山林道と分岐し、峰山高原に通じている。残念ながら分岐から1・4キロ地点にゲート。そこから長谷ダム方面に行ける。

14・雪彦峰山林道

県道8号の坂の辻峠から入った。ロングダートだと大いに期待したが2・7キロ地点より先は全線舗装。雪彦山は「日本三彦山」のひとつ。

(播但の峠)

中国山地から延びる山並みの連なる「播但」には、いくつもの峠がある。「峠越え」には絶好のエリアだ。若杉峠のような「播但」国境の峠は山陽と山陰を分ける中央分水嶺の峠になっている。

1・野尻林道の峠

峠では阿舎利山(1087m)への林道が分岐。残念ながらこの道に入らなかったが、山頂近くまで通じている可能性もある。

2・戸倉峠(標高891m)

国道29号の兵庫・鳥取県境の峠。全長1730mの新戸倉トンネルで貫かれている。山陽・山陰を分ける中央分水嶺の峠。

3・国道482号の峠(その1)

氷ノ山北西の兵庫・鳥取県境の名無し峠。鳥取県側は峠までが国道だが、兵庫県側で途切れる。峠では東因幡林道が分岐する。

4・春来峠

国道9号の峠。全長1696mの春来トンネルで貫かれている。峠下には但馬の名湯、湯村温泉。旧道の峠近くには春来の集落がある。

5・桃観峠

国道178号の浜坂・香住町境の峠。但馬の日本海側は山々が海に迫っているので、このほかにもいくつもの峠を越えていく。

6・国道482号の峠(その2)

日高町と村岡町境の峠区間は未開通だったが、2003年11月8日に全長3692mの蘇武トンネルが完成。つながった!

7・蘇武妙見林道の峠

蘇武妙見林道の起点となる峠。日高町の稲葉から登るダートは通行できるが、村岡町側から登るダートは通行止になっている。

8・笠波峠(標高335m)

国道9号の村岡町内の峠。ゆるやかな峠なので気をつけていないと、わからないままに通り過ぎてしまう。峠近くには猿尾滝。

9・八井谷峠(標高410m)

国道9号の村岡・関宮町境の峠。全長1256mの但馬トンネルで貫かれている。南側にはループ橋。国道9号には峠が数多くある。

10・加保坂峠

関宮・大屋町境の県道714号の峠。大屋町側の展望がすばらしい。但馬の山々を一望。峠には「ミズバショウ公園」がある。

11・若杉峠(標高730m)

大屋・波賀町境の県道48号の峠。大屋町側は急勾配の登り。播磨と但馬を分ける国境の峠。中央分水嶺の峠でもある。

12・志倉道谷林道の峠

波賀・一宮町境の峠。林道の両側にはクマザサがおい茂る。ここから南には三久安山、阿舎利山、一山などの山々が連なる。

13・千町峠(標高970m)

一宮・大河内町境の峠。段ヶ峰と千町ヶ峰の間に位置する。峠で千町林道と千町段ヶ峰林道が十字に交差している。

14・砥峰高原の峠

県道39号の砥峰高原の峠。砥峰高原は一面のススキの原。春の山焼きでも知られている。峰山林道はここから入っていく。

15・坂ノ辻峠(標高720m)

県道8号の大河内・一宮町境の峠。雪彦峰山林道はここから入っていく。峠から北には峰山林道が分岐する。峠はまさに交差点(辻)!

(播但の食)

播磨最北の波賀町の食堂に入ると、そこのメインは「お好み焼き」。これぞまさしく関西の味。

但馬の日本海側では松葉ガニズワイガニのこと)が解禁になったばかり。旬の松葉ガニに食らいついた。これは山陰ならではの味だ。

但馬の湯村温泉では「温泉たまご」を食べた。これは相棒の関野さんの大好物。それにしてもうまい「温泉たまご」だった。

(播但の温泉)

播磨では波賀温泉に泊まった。すぐ近くには名瀑の原不動滝。但馬では湯村温泉城崎温泉に入った。ともに名湯。とくに城崎温泉は山陰随一の名湯といわれる。6ヵ所の共同浴場があるが、城崎温泉に泊まっての、これら6湯の「外湯めぐり」はおすすめだ。

(播但の一の宮

日本をおもしろくまわるひとつの方法は、旧国を意識することだ。たとえば兵庫県だと播磨、但馬のほかに丹波、摂津、淡路の5国から成っている。「国めぐり」の絶好の見印が一の宮。どの国にも千何百年の歴史に耐えて、一の宮が残っている。

一の宮めぐり」をすると、日本の国というものがよくわかってくる。播磨の一の宮は伊和神社、但馬の一の宮は出石神社だ。