賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

カソリの島旅(13)寒風沢島(宮城)

 (『ジパングツーリング』2001年9月号 所収)

 利根川を渡って茨城県に入る。夜の鹿島神宮を参拝し、国道51号で大洗へ。大洗港で室蘭、苫小牧行きのフェリーを見たあと、海岸で野宿。月に照らされた太平洋がキラキラ輝いて揺れていた。

 翌日は国道6号を北へ。関東から東北に入る。福島県を走り抜け、宮城県に入り、仙台に到着したのは15時。塩釜港に急ぎ、うまい具合に、15時30分発の浦戸諸島の島々をめぐる連絡船にスズキSMX50ともども乗ることができた。

 浦戸諸島は松島湾に浮かぶ島々。連絡船は桂島、野々島、寒風沢(さぶさわ)島と寄って朴(ほう)島まで行っている。ぼくはそのうち、寒風沢島で降り、そこで1泊することにした。船賃は人が500円、SMX50は700円。船上から食い入るように松島湾に浮かぶ小島を眺めた。

 寒風沢島に上陸すると、さっそく島を一周した。といっても、その距離は5キロほど。島ではちょうど田植えの最中だった。川がないので天水だのみの水田。それでも日本人は米をつくる。水田のまわりには、ネットが張られていた。カモメなどの海鳥にやられるのだという。

 島では船は自家用車のようなもの。1軒で2隻も3隻も船を持っている。ちょっと塩釜に買い物というときも、自家用の船で行く。対岸の野々島に中学校があるが、寒風沢島の生徒たちは船で学校に通っている。

 寒風沢島では民宿「幸栄荘」に泊まった。ここで出た夕食は次のようなもの。・カツオ、ハダガレイ、シャコの刺し身・マガレイの焼き魚・甘エビ・シャコ・スクモガニ・ホヤ・ホタテのひもの辛子漬け・シラウオやホタテ、エビのてんぷら・アサリの鍋・シラウオのおすましと、“海の幸”三昧。すごいご馳走だった。