賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

海道をゆく(7)「淡路島編」

 (『ツーリングGO!GO!』2005年5月号 所収)

※地図につけた解説。このブログ記事では地図を省略してあります。

(一言コメント)

1、江崎 淡路島最北端の岬

2、岩屋港 タコフェリー発着の港

3、洲本城跡 三熊山の山頂に天守閣

4、生石鼻 沼島が見える

5、土生港 沼島への船が出る

6、沼島 関西圏屈指の海釣りのポイント

7、諭鶴羽山 淡路島の最高峰

8、潮崎 淡路島最南端の岬

9、阿万海岸 きれいな砂浜

10、福良港 天然の良港

11、鳴門岬 対岸は大毛島の孫崎

12、高田屋記念館 高田屋嘉兵衛の記念館

1、淡路IC

 神戸淡路鳴門自動車道の淡路ICは高速道路を使って淡路島に入るときの玄関口。関東圏からだと東名→名神→中国道→山陽道を経由し三木JCTからそのまま明石海峡大橋を渡り、1枚の通行券で来られる。東京から淡路ICまでは613キロ。

2、岩屋港

 明石港へのたこフェリーの発着する港。ここが淡路島内のR28の起点になる。淡路島内の終点は南部の福浦港。淡路島を縦貫するR28は神戸が起点で明石でR2と分かれ、四国本土の鳴門市でR11に合流。徳島が終点になる。

 島の2桁国道というのは、ほかには鹿児島から種子島、奄美大島を経由し、沖縄本島の那覇へと通じるR58があるだけ。

 この岩屋港からR28→県道76号→県道25号→県道31号と時計回りに淡路島を一周したが、その距離は173キロ。さすが瀬戸内海第一の島だけのことはある。島一周ルートが10キロ以下だと小島、50キロまでが中島、50キロ以上は大島というのが「カソリの島基準」。100キロ以上は超大島になる。淡路島は日本でも数少ない超大島なのだ。

3、洲本城跡

 淡路島最大の町、洲本は6万石の旧城下町。町を見下ろす三熊山(133m)の山頂に城があった。そこには復元された天守閣(無料)がある。三熊山ドライブウエイ(無料)で登っていける。天守閣からの眺めは絶景だ。前方には洲本の町並みが広がり、淡路島東海岸の海岸線を一望する。背後には幾重にも連なる山々。淡路島南東部の山並みは高く険しい。山麓には「淡路文化資料館」。

4、土生(はぶ)港

 洲本からは海沿いの県道76号がおすすめルート。生石(おいし)鼻を過ぎると沼島(ぬしま)を見ながら走る。土生港から沼島へ1日10便、船が出ている。この沼島は関西圏では屈指の海釣りのポイント。大物のタイがよく釣れるという。紀伊水道北部に浮かぶ沼島はかつては漁業でおおいに栄え、「沼島千軒」といわれたほどだ。

5、諭鶴羽(ゆづるは)山

 淡路島の最高峰。標高608m。海岸から県道535号で登っていくと諭鶴羽神社の前を通り、山頂までバイクで行ける。そこには諭鶴羽神社のお旅所。海岸からはもう1本のルート、黒岩林道経由でも行ける。

 黒岩林道にはおそらく日本で唯一の「猪垣(ししがき)ゲート」。イノシシなどの野生動物の進入を防ぐもので、ゲートを自分であけて自分で閉めるもの。ここでは大鹿が道を横切り、さらに2頭のイノシシがバイクの前を走った。黒岩林道のダートは3・5キロ。自然度満点のエリア。

6、阿万海岸

 きれいな砂浜の海岸。四国の山々を間近に見る。漁港の岸壁からは淡路島最南端の潮崎を目の前に見る。残念ながら岬への道はないが、岬の近くまでは道幅の狭いダートで行ける。これがすさまじい道でオニグモのクモの巣だらけ。その中をバイクで突っ込んだので、バイクにもぼく自身にのクモ巣がからみつき、「スパイダーマン」になってしまった。

7、福浦(ふくら)港

 淡路島内のR28の終点。律令時代からの四国街道の終着駅としておおいに栄えた。ここは淡路と四国を結び付ける重要な拠点だった。高台から見下ろすとよくわかるが、文字通りの天然の良港だ。鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋の完成以前はここから鳴門港にフェリーが出ていた。

8、鳴門岬

 鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋の淡路島側の岬。もともとの岬名は門崎だが、今ではすっかり「鳴門岬」が定着した。ここには「道の駅 うずしお」がある。展望台(無料)から見下ろす鳴門海峡の渦潮がすごい。対岸は四国の大毛島突端の孫崎。右手には小豆島が青く霞んで見える。ここのレストランでのおすすめは「鯛丼」(1050円)。タイの本場だけのことはある。

9、高田屋嘉兵衛記念館

 江戸時代後期の豪商、高田屋嘉兵衛の資料館(入館料300円 10時~16時 月休み)。嘉兵衛の生まれ故郷、五色町都志の県道31号のすぐわきにある。入口には嘉兵衛の石像。思わず函館にそびえ立つ嘉兵衛の銅像と比べてしまったが、函館の方がはるかに立派だ。

 嘉兵衛はこの地に生まれ、28歳のときに蝦夷地の箱館(今の函館)に渡った。そこを拠点に海運や造船、北洋での漁場経営など幅広く手掛けた。さらに千島列島への航路を開き、択捉島を開発した。まさに北方の偉人。

 近くには高田屋嘉兵衛公園(五色ウエルネスパーク)。そこには高田屋嘉兵衛とロシアのゴローニン提督が並ぶ「日露友好の像」が建っている。公園への入園は無料。

11、伊○諾(いざなぎ)神宮

 五色町の北隣り、一宮町にある淡路の一の宮。拝観は無料。淡路というのは佐渡、隠岐、壱岐、対馬とともに日本に5国ある「島国」のひとつ。祭神は伊○諾大神と伊○○大神の2神。イザナギは「古事記」の国生み神話の男神、イザナミは女神。

 淡路島は「国生み神話」発祥の地。「古事記」によると大八州(おおやしま日本のこと)のうち、一番最初にできたのが淡路でつづいて四国→隠岐→九州→壱岐→対馬→佐渡→本州という順番で日本国ができあがった。それを頭に入れて伊○諾神宮を参拝すると、ありがたさがぐっと増すというものだ。

12、野島断層

 県道31号沿いの北淡町は阪神淡路大震災で大きな被害を受けたところ。震災から10年たっても、いまだに町の中心には空き地が多く、大地震の傷跡を見せている。この大地震でできた野島断層を長さ140mのドームで覆って保存し、展示しているのが「野島断層保存館」(入館料500円 9時~17時 年中無休)。国指定の天然記念物にもなっているが、ドームのおかげで風化しないところがいい。

 野島断層は「北淡町震災記念公園」(無料)内にあるが、売店でのおすすめは「たこ団子」(300円)。名物の北淡タコの入った団子だ。

13、江崎

 淡路島最北端の岬。断崖上には灯台。海辺を走る県道31号沿いの江崎公園には明治4年初点灯のこの灯台のモニュメントがある。播磨灘対岸の明石の町並みがよく見える。夜だと町明かりはまばゆいばかり。

(食べものガイド)

たこ焼きコロッケ

「道の駅 あわじ」で食べた。1ヶ60円。明石海峡名物のタコを使った明石焼き(たこ焼き)をつぶして焼いたもの。歯ごたえのあるタコだ。たこコロッケ(110円)、たこ天ぷら(200円)、たこめし(400円)もある。