賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

ユーラシア大陸横断(28)ポズナニ→ベルリン

 (『ツーリングGO!GO!』2002年11月号 所収)

2002年8月1日(木)晴 ポズナニ→ベルリン 278キロ

 6時、朝食。コーンフレーク、パン、チーズ、ハム、コーヒー。

 7時、出発。国道2号を走り、ポズナニから176キロでドイツとの国境に到着。ポーランドの出国手続きを終え、オーデル川を渡ってドイツに入った。時間は10時だ。

 国境からベルリンは近い。A12→A10とアウトバーンを走り、12時にはベルリンに到着。昼食のサンドイッチを食べたあと、ベルリンの町を歩く。地下鉄にも乗った。ベルリンの中心、ブランデンブルグ門にも行った。なつかしい。1990年の「世界一周」が無性になつかしく思い出された。

 その前年、1989年11月9日に「ベルリンの壁」が崩壊。ぼくの行った1990年9月の時点では、まだ、かなり「ベルリンの壁」が残っていた。ブランデンブルグ門と、かつての東西ベルリンを結ぶ唯一のゲートだったチェックポイント・チャーリーの間を歩いた。

 そこでは衝撃の光景を目にした。世界中からやってきた旅行者たちが、いたるところでハンマーやバールで「ベルリンの壁」をぶち壊し、そのカケラを拾っていたのだ。

 ぼくもオーストラリアから来たという青年に鉄パイプを借り、コンクリートの壁をたたいた。

「ガーン、ガーン!」

 という音が耳の奥底に響き、こびりつくようにいつまでも残った。

 東西ドイツが統合されたのはその直後の10月1日のことだった。

1861、ベルリンに到着

ベルリンに到着

1862、ベルリンの地下鉄

ベルリンの地下鉄