賀曽利隆 STILL ON THE ROAD !

世界を駆けるバイクライダー・賀曽利隆(かそりたかし)。地球をくまなく走り続けるカソリの”旅の軌跡”をまとめていきます。

「青春18きっぷ2010」(17)

第3日目(函館→旭川・その2)

 函館朝市を歩いたところで函館駅へ。改札口で「青春18きっぷ」の2日目の日付印をもらい駅構内へ。

 4番ホームに停車中の函館本線長万部行に乗る。1両編成のディーゼルのワンマンカー。上野駅を出発したときは宇都宮線の15両編成の列車だったので、ついにそれが1両になった。

 車両後部のボックスシートに座る。車内はガラガラ。ほかの乗客といえば前の方にギターを持った旅人風の人が1人、座っているだけ。発車時刻になっても乗客は2人だけだった。

 6時00分、函館本線長万部行は函館駅を発車。五稜郭、桔梗、大中山函館市内の駅に停まっていくが、乗る人はいない。その次の七飯駅で2、3人乗っただけ。七飯を過ぎると山中に入り、雪の降り方が激しくなった。

 6時40分、大沼着。函館本線はここで山側と海側の2本のルートに分かれ、森で合流する。

 ぼくの乗った長万部行は海側ルートで鹿部、砂原と通って森へ、もう1本の山側ルートは大沼公園、駒ケ岳と通って森に通じている。山側ルートの方が短いので、特急列車はすべて山側ルートを通っていく。

 大沼駅で明るくなった。大沼駅を過ぎると雪はさらに激しさを増した。

 これがバイクだったら…と、思わず首をすくめてしまう。

 その2年前、2008年の「日本一周」を思い出す。今回とほぼ同じ季節にスズキの125ccスクーター、アドレスV125Gで北海道を一周したが、猛烈な吹雪やツルンツルンのアイスバーンに何度、泣かされたことか。

 道北・猿払ではぶ厚いアイスバーンに乗り上げ、痛恨の転倒…。胸を強打し、息ができないままバイクを走らせた。

 函館本線の車窓から一面の雪景色を見ていると、そんな痛い思い出が鮮やかによみがえってくる。

 ということで、地吹雪に見舞われたときの写真を1枚、載せておこう。

 それにしても列車旅は楽だ。

「こんなに楽をいていいんだろうか…」

 といった罪悪感にちょっぴりかられてしまう。

 歯をくいしばって雪に立ち向かっていく必要もない。転倒の不安もない、心配もいらない。

 列車は雪原を行く。大沼のすぐ近くを通っていくが、湖は見えない。駒ケ岳もまったく見えなかった。

 鹿部温泉のある鹿部からは内浦湾岸を行く。函館本線と平行して走る国道278号は海岸を行くが、函館本線はそれよりも山側で、海は時々ちらっと見える程度。渡島沼尻渡島砂原…と通り、7時34分、1両の列車はガラガラ状態のまま森駅に到着した。

 ここでは特急列車や貨物列車の待ち合わせで30分以上、停車する。

 そこでいったん改札口を出て、ボソボソ雪の降る森の町を歩くのだった。

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函館駅を出発!

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函館駅の改札口

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長万部行の列車

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長万部行は海側の砂原経由

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長万部行列車の運転席

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車内はガラガラ

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函館本線・車窓の雪景色

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(※この写真のみ2008年12月6日)地吹雪の国道238号を行く

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鹿部駅

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渡島沼尻駅

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渡島砂原駅

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尾白内駅

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森駅に到着