「青春18きっぷ2010」(15)
第2日目(東京→函館・その10)
20時45分、「青い森鉄道」の終点、青森駅に到着すると、人影もまばらな跨線橋を渡る。そこから見るライトアップされた青森ベイブリッジがきれいだ。
何度、この青森駅前にバイクと一緒に立ったことか。
「東京→青森」というのは、バイクツーリングのゴールデンルート。東京を出発すると、ゴールは決まって青森駅前。青森の駅前旅館や駅前ビジネスホテルにも何度も泊まっている。
ぼくはバイクでの一気走りが好きだ。
「東京→青森」は一気走りにも最適なルート。
午前0時(長距離の一気走りをするときは午前0時出発と決めている)に東京・日本橋を出発し、あるときは国道4号で、あるときは国道6号→国道45号の太平洋ルートで、あるときは国道17号→国道8号→国道7号の日本海ルートで走る。
バイクを停めるのは3度の食事時と給油時だけ。あとはただひたすらバイクを走らせる。
国道4号で14、5時間、太平洋ルートで21、2時間、日本海ルートで22、3時間といったところか。クタクタになって青森駅前に到着したときの感動といったらない。
思わず、「俺はやったぜー!」と、叫びまわりたくなるほどだ。
そんな青森駅前から雨に濡れながら歩き、津軽海峡フェリーのターミナルに向かう。
青森ベイブリッジに螺旋階段で登ろうとしたら、警備員が降りてきて、
「上は閉めたよ」
といわれた。
夜の9時で閉めるようだ。時間はジャスト9時。
「なんとか開けてもらえませんかねー」
と頼んではみたものの、ダメなものはダメで、ベイブリッジには登れなかった。
この螺旋階段を登れないと、大きく迂回しなくてはならない。バイクならば何という距離でもないが、このあたりが歩きの辛さ。時間が読めない。
22時15分発の津軽海峡フェリーには何が何でも乗らなくてはならないので、青森駅前から津軽海峡フェリーのターミナルビルまではタクシーに乗った。タクシー代は1540円。これも「青春18きっぷ」以外の交通費ということになる。
函館までの乗船券(2700円)を買うと、「ブルードルフィン」に乗船。スタンダード(2等)クラスの船室はガラガラ状態で、広い空間を自分一人で独占。さっそくアサヒ・スーパードライ500mlで、「東京→青森」の全線完乗を祝って乾杯!
22時15分、定刻通りに「ブルードルフィン」が青森港を出港すると、ザックの中に入れたシュラフを引っ張り出し、雨具を枕にして寝る。津軽海峡フェリーは函館までの交通手段になるだけでなく、1泊分のホテルがわりにもなる。函館到着までの4時間弱、ぐっすりと眠った。
ところで「青森→函館」間だが、「青春18きっぷ」は特例で使える。
「青春18きっぷ」の案内(2)には、次のように書かれている。
「津軽海峡線木古内~蟹田間、石勝線新得~新夕張間は普通列車が運行していないため、特例として当該区間内相互発着の場合に限り、このきっぷのみで特急列車の普通車自由席に乗車できます。ただし、特例区間にまたがって乗車する場合は乗車全区間の乗車券及び特急券が必要です」
ぼくの場合は青森到着が20時45分。この時間だと22時11分発の列車で蟹田までは行けるが、それに接続する津軽海峡線の特急列車はない。
もうひとつは青森発22時42分の札幌行急行「はまなす」に乗る方法だ。これだと函館到着は午前1時。午前1時の到着だと、函館駅前のどこか宿に泊らなくてはならないので、津軽海峡フェリーで函館に渡ることにしたわけだ。
「ブルードルフィン」が津軽海峡を越えると、天候は急変した。
猛烈な吹雪。
「ブルードルフィン」は強風に翻弄されてなかなか接岸できず、函館港のフェリー埠頭には30分遅れの2時25分に到着した。
「ブルードルフィン」を下船すると、目もあけていられないような猛吹雪。これはたまらん…と尻尾を巻いてフェリーターミナルに逃げ込み、暖房の効いたソファーで1時間ほど眠った。
こういうときは寝るに限る。
目をさますと雪はちらつく程度で、強風もかなりおさまっていた。
函館港から函館駅まで歩く。気温は氷点下3度。雪に滑って「ステーン」をやらないように、両足をスキーのように滑らせて歩いた。函館駅前に到着したのは5時前。上野を出発してからほぼ24時間後のことだった。
改装工事が終って新しくなった青森駅
青森駅の長いホーム
「ブルードルフィン」に乗船
これが「ブルードルフィン」
お洒落な「ブルードルフィン」のロビー
「ブルードルフィン」の船室で乾杯!
函館港に到着
雪の函館港から歩き出す
函館駅前に到着!